研究課題
II型コンドリュールは多くの研究者がその再現に成功しているが、I型コンドリュールの再現にはこれまで成功していない。そこでI型コンドリュールの再現実験を試みている。前年度は、炭素質コンドライト隕石片を用いた。今年度は試料の均一性を高めるために、出発物質にはコンドライト組成の粉末焼結ペレットを用いた。実験はピーク温度と冷却速度を変えて様々な条件で行った。実験の結果、還元雰囲気(IW-4からIW-5)でI型コンドリュールに一般的な珪酸塩鉱物(フォルステライトおよびエンスタタイト)が形成する条件を見出した。また、形成組織は、斑状(ポフィリティック)組織を呈し、丸みのあるフォルステライトを自形エンスタタイトが取り囲んで成長したポイキリティック組織を示すことが観察された。この実験条件は全圧が100Paで、ピーク温度が1450℃、冷却速度が100℃/hであり、金属鉄成分に乏しい場合である。しかし、実際のコンドリュールと比較すると相違点も認められる。実験では、酸化鉄成分は金属鉄に還元することなく蒸発し、その結果、鉄ニッケル合金は欠損する傾向が強かった。天然のI型コンドリュールには出発物質は微小(10ミクロン以下)の鉄ニッケル(カマサイト)粒子を多数含むことがある。一般に、カマサイト粒子の量は隕石種ごとでも異なり、炭素質コンドライトには多く、普通コンドライトには少ない。また、含有するカマサイト粒子の量は同一隕石でもコンドリュールごとで変動する。これらについては実験では明らかにできなかった。コンドリュールの熱源として衝撃加熱を仮定し、カマサイト粒子はその過程で溶融コンドリュールに注入されたと可能性を検討している。これらを考慮して成因を整合的に説明できるモデルを検討している。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Earth and Planetary Science Letters
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http://dx.doi.org/10.1016/j.epsl.2014.11.012
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