研究課題
計画最終年度の本年度には、本研究計画で得られた実験および理論計算の結果を実際の地球史や惑星進化史に適応することに力点を置いた。その結果として、主に3つの成果が得られた。第1は、衝突脱ガス大気の分子組成推定についてである。前年度までに得られた衝突エントロピー増加率と分子組成の間の関係を、現実的な惑星表面物性を考慮して大気組成モデル計算を行った。その結果、惑星重力や日心距離(平均衝突速度の制御因子)と並んで、惑星表面が海で覆われているか否かが非常に重要な影響を持つことが判明した。これらの3つの要素を総合すると、金星およびM型星周りのスーパーアースではCO+H2タイプ大気が卓越し、火星および地球ではCH4大気が卓越することが分かった。第2は、初期地球型惑星の水素散逸量の見積である。集積期間中に形成する水蒸気大気が惑星集積終了後直ちに凝縮して海になる場合と、その後も主星の放射のみで保持される場合では、水素散逸量が大きく異なることが分かった。前者では現在の地球のような海の数倍の水に相当する水素が惑星に残るが、後者では地球の海の1/10相当以下まで水素が枯渇する。この成果は、Nature誌に掲載された。第3は、レーザー銃を用いた衝突実験および質量分析計測である。実験結果は、天体衝突の直後に硫黄の酸化還元状態が急速に変化することを示していた。これはK/Pg衝突事件において大量の硫酸雨が極めて短期間に降ったことを意味しており、当時の海洋表層の酸性化を強く示唆している。この成果は、Nature Geoscience誌に掲載された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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