研究課題
これまでに開発された技術を用いて、隕石の全岩および構成要素(酸リーチング液など)の超高精度重元素安定同位体測定を行った。太陽系における重元素同位体異常について、我々のグループで測定した元素(Sr・Nd・Te・Mo・Os)に加え、これまで報告された隕石の同位体異常データをコンパイルすることにより、同位体異常が生じるメカニズムについて考察を行った。まず、各元素は①隕石全岩および隕石構成要素ともに同位体異常を持つ(Sr・Mo・Ru・Crなど)、②隕石全岩に同位体異常はなく、隕石構成要素に同位体異常を持つ(Os・Hfなど)、および③隕石全岩および構成要素ともに同位体異常を持たない(Teなど)という3つのグループに大別されることが明らかとなった。それぞれのグループは元素の揮発性と強い相関があり、②は50%凝縮温度が1600K以上の難揮発性元素、③は50%凝縮温度が1300K以下のやや揮発性元素、①はその中間の凝縮温度を持つ。従って、隕石母天体スケールの同位体異常を引き起こすのは50%凝縮温度が1300-1600K程度の元素に限られることが分かった。このことは初期太陽系に存在したダストの温度安定性と各元素の揮発性により同位体異常が引き起こされたことを意味しており、これまで考えられてきた超新星粒子のインプットやダストのサイズによる分別よりも、太陽系の温度構造とその進化が同位体異常の原因に強く寄与していることを示唆する。理論面では原始惑星系円盤中のダストの移動を調べるためのコード開発を行ってきたが、新たに円盤の温度構造や、ダストの化学種と温度安定性に関する情報を付加する必要があることが分かった。これは本研究の期間を超えて取り組むべき新たな課題であり、今後の太陽系研究における重要な転換点となる可能性がある。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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