研究課題/領域番号 |
23340173
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小椋 一夫 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40214093)
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研究分担者 |
菅原 晃 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00270934)
山家 清之 新潟大学, 自然科学系, 助教 (90452474)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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キーワード | コルゲート遅波構造 / 表面波 / 高次モード / マイクロ波 / ミリ波 / 冷陰極 / 電子ビーム / パルスパワー |
研究概要 |
100kV以下の弱い相対論的エネルギーの電子ビームを用いて,広帯域において周波数制御が可能な大電力遅波マイクロ波・ミリ波電磁波源である広帯域パルス表面波発振器の研究を目的とする。ミリ波帯周期的コルゲートの表面波の利用と2重コルゲート構造の共振器を提案している。本年度の具体的内容を以下にまとめる。 (1)冷陰極を用いたパルス電子ビーム発生実験では,我々の提案しているディスク型冷陰極について電子ビームの発生条件を調べ,電圧‐電流特性を明らかにした。また,外部制御信号による繰り返し運転が可能な小型パルスパワー・システムを整備し,ディスク型冷陰極を用いた電子ビーム源へ応用した。ビーム形状の評価には至らなかったが,これまでの電圧に比べて低い30 kV以下の領域において冷陰極による電子ビーム発生を確認した。 (2)表面波動作と高次モード動作によるミリ波励起実験では,パルス電子ビームを用いて100kV以下の弱い相対論的エネルギー領域において表面波と高次モードの励起実験を行った。表面波と高次モードの2つの発振動作によるミリ波を区別して測定し,それぞれの動作特性を実験的に明らかにした。20GHz帯からUバンド(40-60GHz)での表面波およびFバンド(90-140GHz)を含む高い周波数帯においてマイクロ波・ミリ波測定を行い,高次モード動作も含めた広帯域パルス表面波発振器動作について調べた。 (3)2重コルゲート遅波構造の電磁波モード解析と設計・製作においては,まず2つの表面波の相互作用および同軸構造内の高次モードを含めて電磁波モードの解析を進めた。2重コルゲートにおける表面波動作と高次モード動作の周波数帯域を調べ,実験データとも比較検討しつつ,40GHz帯の2重コルゲート遅波構造を設計し製作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
40-100kVにおける円環およびシート状で均一なビームの生成に成功し,さらに30 kVと比較的低い電圧領域においてビームの発生が確認されている。また表面波動作と高次モード動作によるミリ波励起実験および2重コルゲート遅波構造の電磁波モード解析と設計・製作は,ほぼ計画通り終了していることにより,おおむね順調に進展しているといえる。研究成果は国際会議で発表している。さらに学術雑誌へも投稿しており, Fusion Science and Technologyの2編と IEEE Transactions on Plasma Scienceの2編が受理されている。
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今後の研究の推進方策 |
30 kV領域の高繰り返しビーム発生実験においては,電流密度の上昇が望まれる。このため冷陰極部の電極構造や電子放出面へのベルベット使用などによりビーム電流密度を上げることを目指し,ビーム形状を評価し広帯域パルス表面波発振器へ応用することを検討する。そして,当初計画の通り40GHz帯の2重コルゲート遅波構造により広帯域パルス表面波発振実験を行い,周波数制御について調べる。さらに遅構造にプラズマを装荷し表面波動作や高次モード動作への影響を明らかにしていく予定である。高次モード動作については当初計画では見落としていたものであるが,本研究によりその重要性を明らかにした。表面波動作のみでなく高次モード動作も含めて広帯域パルス表面波発振器を実験的に調べ,ミリ波・サブミリ波発生への応用の可能性を検討する。
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