大出力超高強度レーザー装置を用いた相対論的電子陽電子プラズマの研究を米国リバモア研の実験家と共同で行った。私達はレーザー実験の物理過程の解析や陽電子発生の最適化などおこなった。この実験は私たちが2002年にシミュレーション研究を論文に掲載した内容のスケール則を実験で得るというもの。私たちは理論・シミュレーション手法によりその役割を遂行した。実験は阪大のLFEX超高強度レーザーを用いておこない、論文化した。同時に、米国Chen博士の方法では対生成の効率が極めて悪いためプラズマのサイズがデバイ長程度にしかならないことを理論的に示した。近未来、欧州で建設が予定されているELIレーザーによる10の24-26平方ワットのレーザーによる真空崩壊の物理、特に非線形QED効果とBreit-Wheeler効果について理論研究を行った。真空崩壊では約30%程度のレーザーエネルギーが対生成に使われる可能性があることを理論的に指摘。実験室宇宙物理学は近い将来高エネルギー宇宙物理学の模擬実験を可能にするであろう事を示した。プラズマ科学としては「相対論的非線形プラズマ物理学」という新しい分野の創世の可能性を示し、また、QEDプラズマ物理学というプラズマ物理と素粒子物理の橋渡しを担う分野の創世を示した。まずは、近未来のガンマ線バーストなどの模擬実験が可能となることを示した。
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