プラズマフロー吸入装置(ガラスキャピラリー内にタングステン線導入、50cmシリコンチューブ装着)を使用しマウス維芽細胞を使用した培養細胞実験とヤギ、ラットによる肺、脳障害モデルでのプラズマ吸入治療の有効性を検討した。プラズマ発生条件は印加電圧5-9 kV、周波数1-3 kHz、ヘリウムガス流量1L/min、プラズマ発生90秒である。 マウス繊維芽細胞を含有した無血清培養で、プラズマなし(n=6)群とプラズマあり(n=6)群で、プラズマあり群で細胞が約2倍に増殖した。さらに、細胞増殖に一酸化窒素(NO)が関連していると考え、細胞培養液中のNO濃度をNOセンサーにより測定した。その結果、プラズマあり群では培養液中でのNO濃度増加(6~10nmol)を認めプラズマ吸入はNO増加と関連し細胞増殖を促進すると考えられた。 肺高血圧症の治療評価では、直接肺動脈圧の測定が可能なヤギ(n=3)を使用し実験を行なった。麻酔で無意識下処置を施し、右頸静脈から右心房、右心室を経由し右肺動脈にカテーテルを挿入して肺動脈圧を測定した。低酸素負荷(10%酸素)により肺高血圧の病態(正常1.5-2倍圧130~140/90~100mmHg)を作成した。この肺高血圧の状態で、プラズマフローによる90秒間吸入を施行した。吸入後(約20秒)から最高約15~20%までの血圧低下を確認した。さらに、脳障害に対するプラズマ吸入治療評価では、日齢3日目の新生児期ラットを使用し左総頸動脈結紮後、1時間の6%低酸素負荷により脳梗塞を発症させた。この脳障害は約60%のラットで確認された。24時間後からプラズマ吸入治療を(90秒間)を1日1回、30日間継続できた7例とプラズマ吸入治療しない6例と比較検討した。結果は、治療1カ月後で、梗塞面積を未治療群の梗塞面積と比較するとプラズマ吸入治療群で優位な梗塞面積の減少を認めた。
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