研究課題/領域番号 |
23340182
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
堀内 利得 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (00229220)
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研究分担者 |
田 光江 情報通信研究機構, 電磁波計測研究所, 主任研究員 (10202194)
三浦 英昭 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (40280599)
大谷 寛明 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (90332189)
小川 智也 北里大学, 一般教育部, 講師 (70392719)
宇佐見 俊介 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (80413996)
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キーワード | 多階層連結モデル / プラズマシミュレーション / マクロ階層 / ミクロ階層 / スカラー計算機 / 磁気リコネクション / 適合格子細分化法 / 異常電気抵抗 |
研究概要 |
プラズマにおける多階層現象解明のためのシミュレーションモデル開発とそれを用いた応用研究を行い、以下の結果を得た。 (1)これまでの空間-様格子を用いた多階層モデルから不等間隔格子を用いたモデルへと拡碓し、磁気リコネクションのシミュレーションへ適応した。また、MHD状態を満たす系からスタートし、時間発展の結果生み出された運動論的効果が重要な領域に対しPICモデルを適応する手法を構築した。 (2)マクロ階層とミクロ階層のスケールギャップを埋めるため、マクロ階層側に必要に応じて格子の自動細分化を行う適合格子細分化(AMR)法のコード作成し、スカラー型計算機で良好なパフォーマンスが得られるように最適化した。また、AMR法の基本構造であるブロック自己相似型細分化法とツリー型データ構造モジュールを作成した。 (3)分散メモリ型スカラー計算機で実行性能を得るため、領域分割法による分散並列手法を開放系電磁粒子シミュレーションコードに適用した。特に、Quiet-Start法を用いた上流境界に適用することに成功して、無衝突磁気リコネクションの一因であるドリフトキンク不安定性の発生を確認した。 (4)ミクロ物理が磁気圏の大域構造に及ぼす影響を調べるため、粒子シミュレーションにより評価されたプラズマ不安定および荷電粒子のカオティック運動効果に起因する異常電気抵抗のモデルを用いて、磁気圏サブストームの発達をグローバルMHDシミュレーションにより調べた。結果として双方のモデルともサブストームのオンセットからその後の膨張フェーズまでを再現することが出来たが、プラズマ不安定に基づく異常電気抵抗モデルでは磁気リコネクション点の後退は見られない等の違いがあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に、多階層連結シミュレーションモデルを考案し、その概念を具体化したいくつかの計算コードを作成している。さらに、開発・改良したコードを用いて、いくつかの具体的な物理問題に適応し、モデルの有効性を確認している。また、宇宙プラズマや核融合プラズマにおける多階層現象への応用に向けた物理的検討も着実に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度以降も、(1)多階層連結シミュレーションモデルの開発・改良とシミュレーションコードの高精度化・高効率化、(2)宇宙プラズマや核融合プラズマにおける多階層現象への応用、を基本方針として研究を進める。特に、(1)に関しては、モデルの適応範囲をより複雑な系へと拡大するための課題の分析とそれを基にしたコードの開発・改良を進める。また、(2)に関しては、地球磁気圏プラズマでの構造形成、多階層プラズマ系における磁気リコネクションの物理機構、および核融合プラズマにおけるマクロな不安定性における微視的効果に関するシミュレーション研究を推進する。
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