研究課題/領域番号 |
23340182
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
堀内 利得 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (00229220)
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研究分担者 |
田 光江 独立行政法人情報通信研究機構, 電磁波計測研究所, 研究員 (10202194)
三浦 英昭 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (40280599)
小川 智也 北里大学, 一般教育部, 講師 (70392719)
宇佐見 俊介 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (80413996)
大谷 寛明 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (90332189)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 多階層連結モデル / プラズマシミュレーション / マクロ階層 / ミクロ階層 / 磁気リコネクション / 適合格子細分化法 / 異常電気抵抗 / 構造形成 |
研究概要 |
平成24年度は、プラズマにおける多階層現象解明のためのシミュレーションモデル開発とそれを用いた応用研究を行い、以下の結果を得た。 (1)下流方向における階層間連結に取り組んだ。第一段階として、PICからMHDへの一次元プラズマ伝播シミュレーションに成功した。また開発した多階層モデルを用いて磁気リコネクションの階層構造を調べ始めた。一方、モンテカルロ法に基づいた粒子衝突モデルを整備した。 (2)10億粒子を超える大規模粒子系を扱うため,開放系粒子シミュレーションコードPASMOの最適化を進めた.上流境界におけるマックスウェル分布作成で使用メモリを抑え,より大規模系を扱えるようになった。 (3)適合格子細分化(AMR)法コードの階層境界で流束を直接計算する従来の手法に代わり、緩衝領域を毎ステップ作り直す手法を採用し、緩衝領域の幅を流束計算法に合わせて変えられるようにした。このコードをPIC-MHDコードと結合し、計算領域を1方向にだけ拡張した。AMR法コードの高性能並列化を実現した。MHD方程式に微視的効果を取り入れたHall MHD乱流シミュレーションを実施、ミクロ効果が巨視的運動に与える影響について研究した。 (4)2次元粒子シミュレーションコードを用いて、無衝突磁気リコネクションにおける加熱・加速機構への縦磁場の影響を系統的に調べた。 (5)粒子シミュレーションにより得られたmeandering effectに起因する異常電気抵抗のモデルを用いて、磁気圏サブストームの大域構造と磁気圏尾部の磁気リコネクションの評価との関係をグローバルMHDシミュレーションにより調べた。特に磁場の双極子化において、人為的なパラメータを用いずに、観測データと同様のふるまいを再現出来ることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に、多階層連結シミュレーションモデルを考案し、その概念を具体化した計算コードの開発・改良を段階的に進めている。特に、この多階層連結モデルの開発においては多くの課題が山積しており、課題の同定とその克服のための物理モデル・計算アルゴリズムの構築と具体的な問題による検証を進めることにより、最終目標に一歩ずつ近づきつつある。例えば、階層境界の高精度化に用いられた緩衝領域の高効率化計算手法への改良、これまでに開発されたコードを用いて、一次元アルベン波の伝搬、プラズマの上流からの流入過程および下流域への流出過程、磁気リコネクションをはじめとする具体的な物理問題に適応し、モデルの有効性を検証するなど研究は着実に進んでいる。さらに、これら一連の研究を通じて、今度開発すべき手法や克服すべき課題も明らかにしている。 一方、簡略化したミクロモデルをマクロモデルに組み込むことにより、宇宙プラズマや核融合プラズマにおける多階層現象や構造形成過程に関するいくつかの知見も得られつつある。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度以降も、(1)多階層連結シミュレーションモデルの開発・改良とシミュレーションコードの高精度化・高効率化、(2)宇宙プラズマや核融合プラズマにおける多階層現象への応用、を基本方針として研究を進める。 特に、(1)に関しては、大規模な計算機システムに適した領域分割法による効率的アルゴリズムへの改良、磁気リコネクション現象を対象に上流・下流の両方を同時に階層間連結する新しい多階層モデルの構築、2体衝突モデルの導入とその検証、AMRコードのMPI化とPIC-MHDモデルへの連結を目指したモデル構築・検討とその実装を行う。 また、(2)に関しては、地球磁気圏プラズマでの構造形成現象を通じてのMHDに適用した異常電気抵抗モデルの有効性の検証、AMRモジュールの核融合プラズマを対象とした拡張MHD方程式シミュレーションコードへの実装とミクロ効果の巨視的乱流運動への影響評価を実施する。
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