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2013 年度 実績報告書

タンパク質内エネルギー散逸の時空間分解観測による機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 23350007
研究機関大阪大学

研究代表者

水谷 泰久  大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60270469)

研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワードラマン分光法 / 生物物理 / 時間分解分光法
研究概要

分子間のエネルギー伝達は、化学の基礎的過程として重要である。その機構を解明するためには、エネルギー供与体と受容体の相対位置を規定してエネルギー伝達量や速度を観測する。しかし液相においては両者の相対位置を制御することは難しい。そこで我々はヘムタンパク質を利用して、エネルギー供与体と受容体の相互位置を制御した系をつくり、エネルギー伝達過程に関する研究を行った。ヘムを光励起すると無輻射遷移によって余剰エネルギーが生じ、その後余剰エネルギーは周囲のタンパク質部分へ散逸する。その散逸過程は、紫外光を用いた芳香族アミノ酸残基のアンチストークス共鳴ラマンスペクトルから調べることができる。アンチストークスラマン散乱光は振動励起状態からのみ発生し、その強度は分子が持つ余剰エネルギーの大きさを反映するからである。したがって、アミノ酸残基のアンチストークスラマンバンド強度の時間変化から、ヘムから特定の位置にある残基に伝わるエネルギー量や速度を求めることができる。本研究では、チトクロムb562におけるエネルギー伝達を調べた。チトクロムb562は、ヘムが4 本のαヘリックスに囲まれた単純な立体構造をもつ。この構造を利用し、αヘリックスの1 ターン単位でトリプトファン残基の位置をずらした三種類の変異体を作製し、エネルギー伝達の量や速度の距離依存性を系統的に調べた。その結果、ヘムからの距離が大きくなるにつれて、トリプトファン酸残基が受け取る余剰エネルギーが小さくなること、エネルギーの伝達時間が長くなることを明らかにした。また、観測されたアンチストークスラマンバンド強度の時間変化は、熱拡散モデルでほぼ定量的に再現できることを示した。

現在までの達成度 (区分)
理由

25年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

25年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] タンパク質分子における“熱”エネルギーの散逸過程2013

    • 著者名/発表者名
      水野 操, 水谷 泰久
    • 雑誌名

      熱測定

      巻: 40 ページ: 139-145

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Intersubunit communication via changes in hemoglobin quaternary structures revealed by time-resolved resonance Raman spectroscopy: Direct observation of the Perutz mechanism2013

    • 著者名/発表者名
      Kenta Yamada, Haruto Ishikawa, Misao Mizuno, Naoya Shibayama, and Yasuhisa Mizutani
    • 雑誌名

      J. Phys. Chem. B

      巻: 117 ページ: 12461-12468

    • DOI

      10.1021/jp407735t

    • 査読あり
  • [学会発表] 時間分解アンチストークス共鳴ラマン分光法によるタンパク質内振動エネルギー伝達の距離依存性の観測2013

    • 著者名/発表者名
      宮本光紘、水野操、石川春人、水谷泰久
    • 学会等名
      第7回分子科学討論会
    • 発表場所
      京都テルサ
    • 年月日
      20130924-20130927
  • [学会発表] Propagations of displacement and energy in proteins2013

    • 著者名/発表者名
      Yasuhisa Mizutani
    • 学会等名
      Telluride Science Research Center Workshop on Protein Dynamics
    • 発表場所
      Telluride, Colorado, USA
    • 年月日
      20130805-09
  • [備考] 大阪大学 水谷研究室

    • URL

      http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/mizutani/index-jp.html

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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