研究課題
量子コンピュータの開発や量子情報通信を含む量子情報科学の研究は、これまでに量子情報処理・量子コンピュータの概念・基礎理論の確立とともに、実験的に現存する物理システムで基礎理論の検証し、実際に情報制御を行うことが重要な課題となってきた。本研究では、コヒーレント2重マイクロ波パルス電子-電子二重共鳴(CD-ELDOR)技術を拡張し、量子状態制御を実現するための新しいコヒーレント多重マイクロ波パルス電子-電子多重共鳴分光技術を利用して分子スピン系の電子スピン・核スピンの精密制御することを検討した。前年度に構築した任意波形マイクロ波発振器ベースのパルス電子スピン共鳴装置を利用して、複数の異なるXバンドマイクロ波パルスの波形制御(パルス長、位相、強度)により、電子スピン応答が正確に行えることを確認し、従来の装置では行えなかった多周波電子磁気多重共鳴測定が可能であることを、スピンニューテーション・ホールバーニングの実験を通して実証した。複数のマイクロ波パルスによるホールバーニングを同時に実現し、パルス電子多重磁気共鳴技術の汎用的な利用が出来る段階に到達した。また、安定な同位体置換ジフェニルニトロキシドラジカルに電子-電子二重共鳴(ELDOR)法を適用することにより、ELDOR効果を通じて電子-核スピン系における核スピン情報が得られることを明らかにした(ELDOR-NMR法)。特に、定量的なスペクトル解析を進めることにより、核スピンの情報が電子スピン禁制遷移が生じることにより得られることを分光学的に示した。多重磁気共鳴技術、ELDOR-NMR法は、3つ以上の電子スピンが弱く相互作用する弱交換相互作用多スピン系などのより複雑な量子状態制御を可能にする手法として量子状態制御の応用研究につながる成果である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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