研究課題/領域番号 |
23350016
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
草間 博之 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (30242100)
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キーワード | アシルシラン / 光異性化 / ボロン酸 / クロスカップリング / カルベン |
研究概要 |
本研究課題では,よりクリーンな,そしてより独創的な有機分子変換手法の実現を目指し,光化学反応を基盤とする高反応性化学種の創製とその反応制御に基づく新しい分子変換反応の開発を目的に研究を展開している。具体的には,これまでほとんど有機合成に利用されたことのないアシルシラン類の光異性化によるカルベン生成に着目し,適切な分子設計の元でこれと各種の求電子剤・求核剤との反応を実現し,独創的な骨格形成手法の開発へと展開することを目的としている。 23年度は、アシルシランの光異性化で生じるシロキシカルベン種と求電子剤である有機ボロン酸エステルとの分子間反応について集中的に検討を実施した。その結果、アシルシランとほぼ等モル量のボロン酸エステルの存在下、室温・中性条件下で光照射を行うと、シロキシカルベン種のホウ素原子上への求核攻撃を起点とする分子間カップリングが効率的に進行することを見出した。またこの反応ではボロン酸エステルの炭素ーホウ素結合へのカルベンの形式的な挿入の後、さらにユニークな転位反応を起こしていることを明らかにすることができた。 この知見を元に更なる検討を行った結果、有機基を二つ以上有する有機ホウ素化合物との反応を同様の条件下行うと、シロキシカルベン炭素上に有機ホウ素化合物由来の二つの有機基が転位することが明らかとなった。これにより、これまで例のないアシルシランの光異性化を利用した連続的炭素―炭素結合形成反応の開発に成功した。これらの反応は中性条件下、金属触媒等を用いることなく実施することが可能な新しいタイプのクロスカップリング反応と言える。 これらの研究成果は、シロキシカルベン種の化学に新たな展開を生み出すものであり、今後様々な分子変換手法の開発に展開可能な意義ある成果と考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、これまで有機合成にほとんど利用されたことのないアシルシランのシロキシカルベン種への光異性化プロセスを基盤とした独創的な有機分子変換手法を開発しようとするものであり、おおむね当初の研究目的通りに、シロキシカルベン種と求電子剤との反応に基づく特徴的な分子変換反応の開発に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの達成度欄に記したとおり、本研究課題は、おおむね当初計画に沿って順調に進展しており、今後もこれまで同様の方法で研究を進めることで、研究目的に沿った沿った方向性の成果を挙げられるものと考えている。
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