研究概要 |
キニジン由来のチオウレア構造と三級アミン構造を有する触媒を用いて,アセタール化とオキシマイケル付加反応を連続して行う時空間集積を実現し,合成上有用な1,3-オキソランを一挙に光学活性体として得られる分子変換を見いだした。我々は,キニジン由来のチオウレア構造と三級アミン構造を有する触媒を用いると,エノンに対する分子内オキシマイケル付加が進行し,光学活性テトラヒドロフラン環を高いエナンチオ選択性で与えることを既に見いだしている。この反応を鍵反応として,時空間集積を試みた。式2にしめすように,基質としてアリルアルコール誘導体を用いてアルデヒドと共に,シンコナアルカロイド由来のチオウレア触媒を作用させ,アセタール化とオキシマイケル付加を集積することにより,光学活性1,3-ジオキソランを一挙に得ようというものである。 実際,(E)-4-ヒドロキシ-1-フェニル-2-ブテン-1-オンとシクロヘキシルカルボアルデヒドの混合物にキニジン由来触媒を作用させると,アセタール化とオキシマイケル付加がタンデム型に進行し,96% eeの光学活性1,3-ジオキソランが良い収率で得られた。ジアスレオマー混合物として得られたが,分離可能であった。また,基質として(E)- アリール 4-ヒドロキシ-2-ブテンチオラートを用い,同様の反応を行うとチオエステル部位を有する1,3-ジオキソラン誘導体が高い光学収率で得られることを確認した。
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