研究課題/領域番号 |
23350018
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森 直 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70311769)
|
研究分担者 |
福原 学 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30505996)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 励起波長効果 / エキシプレックス / 励起CT錯体 / CT相互作用 / 温度効果 / エントロピー・エンタルピー / 蛍光スペクトル / 可視光利用 |
研究概要 |
これまでの一連の検討から、基底状態の電荷移動(CT)相互作用を利用した光反応が反応、立体制御に有効な院誌であることを明らかとしている。分子内反応系では、これまでの分子間の系と同様にCT錯体の励起において通常のエキシプレックスとは異なる励起種が生成するのみならず、おなじCT励起内でも、さらに励起波長を少しシフトさせるだけでさらに選択性が向上することを見出した。いずれにしても、励起波長の選択が光反応においてきわめて重要な制御因子であるということを立証することができた。特に本年度は、介在するメカニズムや、これら励起種がどのように異なるかなどの詳細を明らかにする目的で、蛍光性のナフタレン基を有する分子内CT系を構築し、スペクトル解析と反応性の相関を検討した。これまでの初期的な成果はJ. Am. Chem. Soc.誌をはじめ、業績リストに示すような多数の国際誌に報告することができた。また、光化学討論会、基礎有機化学討論会等の国内討論会などで報告し、ドイツなどの国際会議において招待講演を行って研究成果の広報に勤めた。一般向けの広報活動の一環としては一般向けの化学雑誌にも解説記事を寄稿した。これら一連の成果はきわめて注目の高いものであり、たとえば今年度は、イギリス化学会より総説の執筆依頼を受け、Chem. Soc. Rev.誌(Impact Factor = 24.9)へ研究内容全般の解説総説記事を発表することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究の当初計画、およびその規模は妥当であり、順調に進んでいる。成果の概要は以下のとおりであるが、期待以上の成果が上がっている。 (1)主に反応機構に関する基礎的研究の成果がJ. Am. Chem. Soc.誌(Impact Factor = 10.7)、2報などの国際誌への報告の形で公表され、これまでの中間時点での成果報告がリストのとおり際立っている。 (2)これまでの成果が認められ、ドイツをはじめとする複数の国際会議での招待講演で研究を紹介する機会が与えられた。 (3)これまでの成果が認められ、総説の執筆依頼を受け、Chem. Soc. Rev.誌(Impact Factor = 24.9)へ研究内容全般の解説記事を寄稿した。 (4)一般化学雑誌への読み物の執筆を行った。 (5)当初計画の研究内容から派生、発展して、超共役などの軌道相互作用と光反応に関する研究へと展開するなど、励起錯体化学の全貌解明に着手した。 これらの結果は、当初計画を質、量ともに凌駕するものであったため、(1)の判定と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
研究はきわめて順調に進展しているため、来年度も当初研究計画通り研究を進める。これまで特に不斉反応において励起CT錯体の特異性に注目してきたが、より一般的な(キラルでない)光反応系においても、励起波長効果が見られるかどうか、励起CT錯体の特異性に着目しつつ、あわせて検討を進める予定である。新年度に際し、さらなる研究推進のため、新らたに配属される4年生を1名追加して研究の一部を分担、担当してもらうこととし、効率アップを図る予定である。
|