研究課題
物質科学を発展させ新規化合物を開拓するためには、弱い相互作用の本質を的確に解析・評価し、自在にかつ巧みに操ることが求められる。Baderが提案したAIM (Atoms-in-Molecules Method) は、化学結合および相互作用の特性を評価・分類できる方法として注目を集めてきた。しかし本質的な活用は容易ではない。申請者らは、実験化学者の立場から測定結果や物性を自身のイメージで解析を行うために、AIM2元関数解析法を提唱し、相互作用全体を統一的に評価・分類できる基本的な解析法として確立してきた。しかしながら、化学現象全体を有効に解析するためには、本法をより高度な解析法として確立するという挑戦的な課題が浮上してきた。本研究の目的は、AIM2元関数解析法を物質科学の発展と新奇な物質創製に挑戦できる解析法として発展・確立することである。具体的には、(1) 相互作用の動的特性に関連して新規な摂動構造作成法を提案し、AIM2元関数解析法をさらに高精度化し、(2) 不安定化学種や結晶中の相互作用を含めて有効な解析法として確立する。水素結合は、その実態はあるが相互作用の分類には含まれていない。平成25年度は、平成24年度に引き続き、二量化や分子内水素結合、分子間水素結合、DNAの二重らせん構造に重要な役割を果たす多水素結合やC-H---π相互作用、新しい非共有結合として着目されているハロゲン結合についてPOM法およびNIV法を適応し、AIM2元関数解析が有用な手段であることを実証した。また多環状化合物の結合状態や相互作用を解明するためNIV法を適応し、AIM2元関数解析が有用な手段であることを実証した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Bulletin of the Chemical Society of Japan
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10.1246/bcsj.20140018