研究課題/領域番号 |
23350020
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
宇野 英満 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20168735)
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研究分担者 |
奥島 鉄雄 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (60359924)
森 重樹 愛媛大学, 総合科学研究支援センター, 助教 (30572028)
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キーワード | 高共役化合物 / 有機半導体 / ペリ環状分解反応 / 近赤外色素 / 二光子吸収 / ポルフィリノイド |
研究概要 |
高共役化合物は、電界効果型トランジスタ、有機発光素子、有機太陽電池などの材料として大変興味が持たれている。申請者は、ペリ環状分解反応を最終段階で行うことにより高純度の高共役化合物を合成する方法を開発し、前駆体塗布法によるデバイス作成に成功した。申請者の方法の特徴は、最終段階の分解反応を無溶媒かつ100%の収率で行える場合は、前駆体が高共役π電子系化合物と等価のものとみなせることである。これまでの成果をさらに発展させるために、(1)目的物質にあった有機合成的に有用な前駆体の選定(2)π電子系のモルホロジー変化を伴う新たなπ電子系の創出(3)高共役化合物の電子状態と挙動の解析(4)高共役化合物の有機電子材料としての評価、を検討することとした。平成23年度は、具体的には以下の5つの課題について検討した。 課題(1):種々の形式で連結したポルフィリンオリゴマーの電子遷移スペクトルと二光子吸収特性の検討 課題(2):大環状電流効果の異なるチアポルフィリン二量体の合成とその物性の検討 課題(3):BODIPY融合化合物誘導体の合成とその物性の検討 課題(4):フェナントレン系縮合多環芳香族化合物の合成とその物性の検討 課題(5):ベンゼン環を環上に組み込んだオリゴピロール色素およびベンゼン内部度環ヘキサフィリンの合成とその物性の検討 当初の予定通り課題(1)(3)については合成を完了した。現在、(3)については論文を投稿中であり、(1)の化合物については二光子吸収特性の評価をDongho Kim教授(韓国Ybnsei大)に依頼している。(2)および(5)については種々の合成法を検討し、合成にめどが付いた。(4)については、平成23年度より始めたが、新たにグループに加わったスタッフの活躍により望外の進展でピセン型縮合環系芳香族の合成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた課題のうち(2)について、予定よりも進展が遅く目的物質の合成までに至らなかったものの、(5)については合成のめどが付いた。また、(4)については、新しいスタッフを得たこともあって取り掛かり当初から素晴らしい成果を得ることが出来きた。また、(3)については安定な選択的近赤外吸収色素の合成を達成し、特許を申請することができたことは、当初の計画以上の成果であった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、初年度で達成できなかった課題(2)の遂行と課題(5)の完成を目指すと共に、課題(3)及び(4)を更に発展させる。これらの研究で得られた化合物群の基本的物性評価は、東北大学の小林長夫教授やYionsei大Dongho Kim教授と共同で検討し、応用物性については三菱化学、日本触媒やJSR等の企業と共同で検討し、積極的に成果の権利化と社会への還元をおこなう。
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