研究課題/領域番号 |
23350020
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
宇野 英満 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20168735)
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研究分担者 |
森 重樹 愛媛大学, 総合科学研究支援センター, 助教 (30572028)
奥島 鉄雄 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (60359924)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ペリ環状分解反応 / 金触媒環化反応 / 二光子吸収 / ポルフィリノイド / 縮合多環芳香族化合物 |
研究概要 |
昨年度の検討で,予定通りポルフィリンオリゴマーの合成と近赤外領域に吸収を持つBODIPY二量体の合成は達成した.本年度は,以下の課題を検討した. 課題①大環状電流効果の異なるチアポルフィリン二量体の合成と物性の検討. 課題②フェナントレン系縮合多環芳香族化合物の合成と物性の検討:ジカルボニル架橋アセン化合物では光による一酸化炭素,オキソチオメタノ架橋では熱または光でアセンを生成することを報告した.最近,ピセンのナトリウムドープによる超伝導が報告され,フェナントレン系の縮合多環芳香族が注目を集めている.これらの化合物はアセン系化合物と比較して格段に安定であることが知られているが,溶解性の低さから有効な有機合成法はない. 課題③:分解反応の前後で,総π電子数が芳香族(4n+2)πと反芳香族4nπとなる系として,ベンゼン環を環上に組み込んだオリゴピロール色素およびベンゼン内部度環ヘキサフィリンの合成. 課題①については、合成を完成し,単結晶を得て詳細な物性の検討が行えた.この過程で興味あるチアポルフィリン類のプロトン化の挙動が明らかとなった。現在これについては詳しく検討している。課題②については,ジナフトピセンやアズレンを組み込んだ縮合多環芳香族化合物の合成に成功した.一般的な種々の縮合多環芳香族化合物合成法の確立に向けて検討を続けている.課題③については,カルボニル架橋前駆体の合成を引き続き行っている.得られた高共役化合物の一部については,小林長夫教授(東北大)と協力してMCDと理論解析により電子遷移による吸収と電子状態の関係を明らかにした.同様に,Dongho Kim教授(韓国Yonsei大)と協力して,二光子吸収特性を評価した.さらに,高共役化合物の応用を目指し,JSRおよび日本触媒と協力して近赤外特性を評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた課題①については,合成を達成することができた.しかし,その吸収波長と強度は,当初の予想に反して長波長シフトも小さく強度もあまり大きくならなかった.これのX線結晶構造解析を行ったところ,興味深いことにプロトン化の位置が当初の予想と異なっていた.この原因については今後検討していく.課題②については合成できる縮合多環芳香族化合物のライブラリーが増えており,当初の予定以上に順調に進んでいる.課題③に関しては,前駆体合成に手間取っており,現在も継続中であるが,合成できるめどはついている.以上のことから,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
予定通りポルフィリンオリゴマーの合成およびチアポルフィリン二量体の合成は達成した。本年度も引き続き,以下の3つの課題について検討する。 課題①:チアポルフィリン及びその二量体の物性の検討 課題②:種々の縮合多環芳香族化合物オリゴマーの合成とその物性の検討 課題③:共役拡張オリゴピロール色素の合成 課題①について、一種類のチアポルフィリン二量体の合成は終了した.これの電子物性を検討する過程において,興味ある個体構造との関係を見出した.これについて詳細に検討するとともに,硫黄の位置の違うチアポルフィリン二量体を合成してその物性を検討する.課題②については,アセンオリゴマーやそのペリ位融合体の合成を検討する.さらに本方法を拡張してスーパーオバレンやその他のナノグラフェン類の合成に挑戦する.課題③については,分解反応の前後で,総π電子数が芳香族(4n+2)πと反芳香族4nπとなる系として,ベンゼン環を環内に組み込んだエチレン架橋前駆体の合成には成功したが,この前駆体の変換はできなかった.このため,光変換可能なカルボニル架橋前駆体の合成を目指す.現在,前駆体の前段階化合物までの合成は終えており,これを完成させる.また、種々のオリゴピロール色素の合成を行う. これらの課題の途中および達成後に得られる高共役化合物前駆体については,熱反応性,光反応における波長依存性,結晶構造と分解特性,特に結晶多形との関係を重点的に検討し,目的の高共役化合物の合成を達成する.得られた高共役化合物は,共同研究者,連携研究者,研究協力者と協力して,MCDと理論解析により電子遷移による吸収と電子状態の関係および二光子吸収特性を明らかにする.さらに,高共役化合物の応用を目指し,企業と協力して太陽電池特性やOFET特性,並びに近赤外特性を評価する.
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