研究課題
昨年度までの検討で,予定通りポルフィリンオリゴマーの合成、近赤外領域に吸収を持つBODIPY二量体の合成およびチアポルフィリン二量体の合成は達成した。本年度は,以下の3つの課題について検討した。課題①:チアポルフィリン及びその二量体の物性:チアポルフィリン及びその二量体において,興味あるプロトン化挙動と個体構造との関係を見出した.この成果については学会発表を行った。現在6月の国際学会発表と論文発表にむけて準備している。課題②:種々の縮合多環芳香族化合物オリゴマーの合成とその物性の検討をおこなう.ペンタセン二量体の合成を報告した.この方法をアズレンに応用することにより,大きな極性を有した縮合芳香族炭化水素の合成に成功した.本方法を拡張して五員環や七員環を組み込んだナノグラフェン類やヘリセン類の合成を行っている.課題③:分解反応の前後で,総π電子数が芳香族(4n+2)πと反芳香族4nπとなる系として,ベンゼン環を組み込んだオリゴピロール色素の合成:昨年度までの検討でエチレン架橋前駆体の合成には成功していたが,この前駆体の変換はできなかった.このため,光変換可能なカルボニル架橋前駆体の合成を目指すとともに,カルボニル架橋体自身の物性についても検討した.N-置換ピロールのβ位でオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタジエンと縮合したジピロールは,室温でも分解して比較的安定なアゾメチンイリド中間体を生成し,さらに酸素と反応して種々の生成物を与えることを見出した。現在,前駆体の前段階化合物までの合成は終えており,反応を検討中である.その他、種々の高共役化合物の合成を達成し,得られた高共役化合物は,小林長夫教授(東北大)と協力してMCDと理論解析により電子遷移による吸収と電子状態の関係を明らかにした.同様に,Dongho Kim教授(韓国Yonsei大)と協力して,二光子吸収特性も評価した.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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