研究課題/領域番号 |
23350026
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
今野 巧 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50201497)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | イオン結晶 / 結晶工学 / 自己組織化 / 超分子化学 |
研究概要 |
本研究では、複数の多核錯イオンが多重の超分子相互作用により自己集合化した超分子イオンの構築、およびこの種の超分子イオンの高次集積化によるカチオン-アニオン分離集積型の金属超構造体の開発について検討した。 まず、平成23年度に引き続き、Au-Ph2P-PPh2-Auユニットの両端に塩化物イオンが結合した金(I)錯体をAuIイオンとPh2P-PPh2の反応により合成した。次に、この錯体にD-ペニシラミンを反応させることにより、2分子のD-ペニシラミンがAu-Ph2P-PPh2-Auユニットの両端に硫黄原子で結合したキラルな金(I)錯体を合成した。得られた金(I)錯体については、NMRスペクトルにより純度を確認するとともに、各種分析手段により同定を行った。さらに、この錯体の単結晶を合成して、X線解析により、その構造を決定した。これにより、平成24年度に新たに得られた金(I)錯体にも、配位チオラト基に加えて非配位のアミノ基とカルボキシル基が存在することが確認され、多座の錯体配位子として機能することが示唆された。そこで、含硫アミノ酸部位との結合に有利な金属であるコバルト(II)イオンあるいはニッケル(II)イオンを用いて、得られた金(I)錯体との反応を行った。コバルト(II)イオンとの反応では、紫色の反応液が得られ、この溶液に塩化物イオンやオキソ酸イオンを含む塩を加えて放置することにより、紫色の固体を単離した。各種分析手段により、得られた化合物は、二分子の金(I)錯体が2つのコバルト(III)イオンを連結したAuI4CoIII2六核錯体であると帰属するとともに、代表的な結晶については、X線解析によりその構造を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施の概要に記したように、金属超構造体構築の前駆体となり得る各種金(I)錯体の合成に成功している。また、その構造も単結晶X線解析から明らかにしており、期待した通り、この錯体中には配位チオラト基に加えて非配位のアミノ基とカルボキシル基が存在することが確認された。さらに、この錯体の金属イオンに対する反応性に関する知見、および目的とする化合物の単離にも成功しており、研究は順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、平成24年度に引き続き、金(I)錯体とコバルト(II)イオンとの反応から得られる溶液に、サイズ、価数、あるいは幾何構造の異なる種々のアニオン種を添加する。これにより、多核金属錯体が自己集合化した金属超分子を単離するとともに、各々の化合物の単結晶を作成してX線構造解析を行い、カチオン-アニオン分離集積型の超構造体が形成されているかどうか調査する。さらに、常磁性の金属であるクロム(III)との反応についても検討し、カチオン-アニオン分離集積型の金属超構造体の構築に関する指導原理を明らかにする。
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