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2012 年度 実績報告書

エレクトロスプレーイオン化質量分析法を基軸とする新たな無機微量分析体系の構築

研究課題

研究課題/領域番号 23350030
研究機関群馬大学

研究代表者

角田 欣一  群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30175468)

研究分担者 堀田 弘樹  奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (80397603)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワードエレクトロスプレーイオン化質量分析法 / 無機微量分析 / オンライン脱塩法 / オキソ酸イオン / 三元錯体
研究概要

汎用的なエレクトロスプレー質量分析装置を用いて、生物・環境試料など様々な実試料中の全無機イオンを、網羅的かつ迅速、高感度に定量できる新規な分析システムの開発を目指している。その研究過程で、昨年度クロム酸イオンとカルボン酸との脱水反応がエレクトロスプレー部分で高効率に起こることを新たに見出した。そこで本年度は、昨年度からの継続課題として① オンライン脱塩法の開発、②イオンクロマトグラフとの結合システムを用いる土壌中六価クロムの測定法の開発、および新たに③カルボン酸との脱水反応を利用する新たなオキソ酸の定量法の開発、の3項目について検討を行った。①に関しては、昨年度までの検討をもとに電気透析式脱塩セルの試作を行い、脱塩効率が高い脱塩セルを完成させ、脱塩条件の検討を行なった。その結果、10 mM NaClの除去が可能であった。さらに、NaClとより移動度が低いイオン(トリクロロ酢酸)を一緒に流したところ、選択的にNaClを取り除くことができた。この結果は今後の研究の基礎となると考えられる。②に関しては、土壌抽出液中六価クロムの測定法をほぼ完成させることができた。さらに③に関しては、硫酸、リン酸、硝酸などの非金属元素のオキソ酸、亜ヒ酸、ヒ酸、亜セレン酸、セレン酸、ケイ酸、ホウ酸など半金属元素のオキソ酸、クロム酸、モリブデン酸、タングステン酸、バナジン酸などの金属元素のオキソ酸と、カルボン酸を含む種々のキレート剤との脱水反応を網羅的に検討した。その結果、非金属元素<半金属元素<金属元素、のオキソ酸の順に、脱水反応が起こりやすいことを見出した。また、一例としてケイ酸を選び、その定量性を検討したところ検出限界として86nMが得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、汎用的なESIMS装置を用いて、生物・環境試料など様々な実試料中の全無機イオン網羅的かつ迅速、高感度に定量できる新規な分析システムの開発を行うことである。具体的な研究テーマとして、研究のスタート時には、①オンライン試料前処理法として迅速かつ高効率な脱塩システムを開発し、金属イオン測定のハイスループット化を実現する。②錯形成剤を最適化し、対象となる金属イオンの種類を増やすとともに、さらにその高感度化を目指す。③亜ヒ酸、亜セレン酸などの有害オキソ酸の迅速かつ高感度な分析法を開発する。(これまでにオキソ酸イオンの一種である6価クロムの測定法を完成させている)④ハロゲン化物イオンに加えて、金属イオンとの3元錯体生成を利用するCN-、SCN-やアンモニウムイオンの高感度定量法を開発する、の4つを上げている。①に関しては、脱塩装置の開発が順調に進み来年度でほぼ完成できる予定である。さらに当初計画には入って居なかったが、イオンクロマトグラフをオンライン前処理に用いる方法も検討を行い、成果を上げている。②の高感度化に関しては、H25年度に詳しい検討を行う予定である。③に関しては、新たにエレクトロスプレーで起こるオキソ酸イオンとカルボン酸との脱水反応を見出し、その利用に関する基礎的研究が進んでいる。④に関してはCN-、SCN-に関しては3元錯体生成を確認したが、アンモニウムイオンに関しては研究が進んでおらず、H25年度にイオン対生成など、新たな研究を開始する予定である。このように、一部研究の遅れもあるが、脱水反応など新たな可能性の開拓もあり、概ね、当初の計画と目的に沿った研究が順調に進行中と考えられる。

今後の研究の推進方策

前述の課題①から④のうち、①、③などが順調に進行しており、基本的にこれまでの計画通り研究を進める予定である。さらに、研究の過程で見出されたエレクトロスプレー部分で高効率に起こるオキソ酸イオンとカルボン酸の脱水反応の分析化学的応用に関し、H25年度は、さらに詳しく検討し、無機オキソ酸の測定法を確立する予定である。また、②、④についても詳しい検討を行う。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Determination of Divalent Trace Metals in Soil Sample Using Electrospray Ionization Mass Spectrometry2012

    • 著者名/発表者名
      Hiroki Hotta, Yuta Kogure, and Kin-ichi Tsunoda
    • 雑誌名

      Analytical Methods

      巻: 4 ページ: 1160-1162

    • DOI

      10.1039/c2ay05898g

    • 査読あり
  • [学会発表] エレクトロスプレーイオン化質量分析法による種々の無機オキソ酸の測定法の開発2013

    • 著者名/発表者名
      小島弘誓, 栗原翔太, 霜鳥一輝, 佐藤記一, 角田欣一
    • 学会等名
      第73回分析化学討論会
    • 発表場所
      北海道大学函館キャンパス
    • 年月日
      20130518-19
  • [学会発表] マイクロチップ電気泳動におけるビーズを用いたDNAの特異的検出法の開発2012

    • 著者名/発表者名
      霜鳥一輝
    • 学会等名
      日本分析化学会第61年会
    • 発表場所
      金沢大学角間キャンパス
    • 年月日
      20120919-20120921
  • [学会発表] Separation of chromate in soil by ion exchange chromatography for the determination of chromium(VI) by electrospray ionization mass spectrometry2012

    • 著者名/発表者名
      Shota Kurihara
    • 学会等名
      RSC Tokyo International Conference 2012
    • 発表場所
      幕張メッセ国際会議場(千葉)
    • 年月日
      20120906-20120906
  • [学会発表] Separation of aluminum-organic acid complexes by cation exchange and anion exchange chromatography2012

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Shimotori
    • 学会等名
      RSC Tokyo International Conference 2012
    • 発表場所
      幕張メッセ国際会議場(千葉)
    • 年月日
      20120906-20120906
  • [学会発表] ESI-MSによるCrIII,CrVIおよび全Crの定量法の開発2012

    • 著者名/発表者名
      栗原翔太
    • 学会等名
      第72回分析化学討論会
    • 発表場所
      鹿児島大学郡元キャンパス
    • 年月日
      20120519-20120520
  • [学会発表] 陽イオン交換・陰イオン交換クロマトグラフィーによるアルミニウム-有機酸錯体の分離2012

    • 著者名/発表者名
      霜鳥一輝, 佐藤記一, 角田欣一
    • 学会等名
      第72回分析化学討論会
    • 発表場所
      鹿児島大学郡元キャンパス
    • 年月日
      20120519-20

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公開日: 2014-07-24  

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