研究課題/領域番号 |
23350035
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
内海 裕一 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 教授 (80326298)
|
研究分担者 |
武尾 正弘 兵庫県立大学, 工学研究科物質系工学専攻, 准教授 (40236443)
遊佐 真一 兵庫県立大学, 工学研究科物質系工学専攻, 准教授 (00301432)
浮田 芳昭 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 助教 (40578100)
片岡 正俊 産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, グループ長 (20224438)
|
キーワード | チップ分析 / 生体分析 / 免疫反応 / バイオリアクター / ELISA / マイクロ化学システム / Lab-on-a-chip |
研究概要 |
本研究は疾病マーカーとなるペプチドや蛋白質を少量の血液から迅速かつ高感度に一括検出する為に、3次元放射光加工技術を駆使して免疫測定法の全プロコトルを回転式μTASディスク上に集積した、世界初の全自動疾病マーカー検査システムを実現することを目的とする。 1)セミフルプロトコルの免疫反応ディスクの設計・試作と送液特性評価 試料導入ディスク、免疫反応ディスク、光学検出ディスクを積層した、血清検査用のセミフルプロトコルの免疫反応ディスク(径3インチ)を設計、試作した。さうに、作製したディスクが、回転速度の制御によって、ELISAプロコトルに対応した逐次送液が再現性良く実行可能か検証した。この結果、ユニット問の輸送回転数のばらつきを設計値の5%以下に抑えることが出来た。 2)前処理(血清抽出)ディスクの設計と試作 フルプロコトルのディスクを実現するための全血からの血清抽出が行える前処理ディスクの設計及び試作を行った。流路構成は、キャピラリバルブと血清成分抽出のための毛管力によるサイホンを有し、2段階の遠心分離によって全血から99.9%以上の精製率で血清分離できる性能を目指す。試作したディスクはサイホン機能が十分機能しなかったため、親水化制御の方法などを検討した。 3)免疫反応系の最適化による高感度化・高精度化の実現 共有結合を用いたキャピラリ側壁への安定した抗体固定化方法について検討を行った。この結果、塩素基結合型のPMMA樹脂を新たに提案し、その開発を行った。また、効率的な洗浄手法の確立に重点を置き、洗浄回数、及びバッファー液量の最適化の検討を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実施計画である、(1)セミフルプロトコルディスクの作製、(2)セミフルプロトコルディスクの要求動作性能の実現、(3)前処理(血清抽出)ディスクの設計・作製、(4)抗体をキャピラリ側壁に共有結合させるための塩素基結合型のPMMA樹脂の提案、(5)洗浄工程の検討の6項目のほぼ全ての計画を成功裏に進めることが出来た。(3)の前処理(血清抽出)ディスクの設計・作製については、目的は達成したが、予定していたサイホン機能の再現性にばらつきがあった。これを抑えるために流路の表面処理方法の検討を行い、見通しを得ることができた。以上の結果により、おおむね順調に進展していると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策については、科研費申請書に記載した研究計画に沿った形で進めることとする。特に前期前処理(血清抽出)ディスクの目的性能の発揮に重点を置き、これとセミフルプロトコルディスクを積層することによって得られる、フルプロトコル3次元マイクロ免疫反応システムの実現を目指すことを目指す。フルプロトコルシステムの実現は本研究課題の最重要の目的である。
|