研究課題/領域番号 |
23350035
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
内海 裕一 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 教授 (80326298)
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研究分担者 |
遊佐 真一 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00301432)
片岡 正俊 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (20224438)
武尾 正弘 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40236443)
浮田 芳昭 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 助教 (40578100)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | チップ分析 / 生体分析 / 免疫反応 / バイオリアクター / ELISA / マイクロ化学システム / Lab-on-a-chip |
研究概要 |
本研究は疾病マーカーとなるペプチドや蛋白質を少量の血液から迅速かつ高感度に一括検出する為に、3次元放射光加工技術を駆使して免疫測定法の全プロコトルを回転式μTASディスク上に集積した、世界初の全自動疾病マーカー検査システムを実現することを目的とする。 1)フルプロトコルの免疫反応ディスクの設計と試作の検討:PMMAによる免疫反応ディスクとPDMSから成るセミフルプロトコル免疫反応ディスク上に、開発中の前処理(血清抽出)ディスクを積層し、フルプロトコルの免疫反応が可能な4層構造のディスクの設計と作製方法の検討を行った。特に前処理(血清抽出)ディスクから免疫反応ディスクへの血清の輸送が再現性良く行えるための流路設計を行った。設計には遠心送液のみならず毛管力や空気流入の制御などを用いて回転駆動とは独立に送液が可能な方法を取り込んだより柔軟性の高い手法を考案した。またその構造部分のみ試作した流路モデルで実際の送液を検証することに成功した。 2)前処理(血清抽出)ディスクの設計と試作:フルプロコトルのディスクを実現するための全血からの血清抽出が行える前処理ディスクの試作を行った。血清成分の抽出には、流路の親水化方法等を検討した。この結果キャピラリバルブと血清成分分離のための遠心力のみにより、全血から99.8%以上の精製率で血清分離に成功した。 3)免疫反応系の最適化による高感度化・高精度化の実現:化学結合を用いたキャピラリ側壁への安定した抗体固定化方法と洗浄について引き続き検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実施計画である、①フルプロトコルディスクの設計、②フルプロトコルディスクの動作手法の検証、③前処理(血清抽出)ディスクによる高純度血清の分離、④抗体をキャピラリ側壁に化学結合させるための検討の4項目のほぼ全ての計画を成功裏に進めた。③の前処理(血清抽出)ディスクの高純度血清の分離と免疫反応ディスクへの送液については本開発の中でも最も困難な課題であるが、流路構造と表面処理位置の制御により、おおむね実現できる見通しを得た。以上の結果により、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策については、科研費申請書に記載した研究計画に沿った形で進めることとする。特に平成25年度は免疫反応系の最適化による高感度化・高精度化に重点を置き、抗体の固定化と洗浄の効率化を図ってゆく。さらに本研究課題の最重要の目的であるフルプロトコルの免疫反応システム実現と、送液の全自動動作の実現及び免疫測定の実証等、目的性能の発揮に重点を置く。
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