X線ラマン散乱を、実験室で高精度測定できる分光器の開発を試みた。試作機を製作し、3年間にわたって調整・改良を続けた。調整過程において、試作機にエネルギー分散型分光ができる機能も付与した。また、分解能0.5 eV以下という、実験室分光器としては非常に高い分解能も実現できた。しかし、用いた分光結晶の反射率が想定以上に低く、X線ラマン散乱から内殻吸収微細構造を抽出するには至らなかった。そこで、試作機をX線ラマン散乱以外の微弱X線発光に活用したところ、SmやYbの蛍光X線スペクトルに新しいタイプの化学効果を見いだすことができた。
|