研究課題/領域番号 |
23350043
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
林 昌彦 神戸大学, 理学研究科, 教授 (60192704)
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キーワード | メソ化合物 / 不斉アリル位酸化 / オゾン酸化 / 不斉中心炭素 |
研究概要 |
環状化合物で不斉誘導を行うには、最初の不斉点の導入が必要である。開環反応で利用するオレフィンを利用し、不斉アリル位酸化反応を用いた。このとき、エポキシドをもつメソ化合物に対して不斉アリル位酸化反応で不斉非対称化を行った。基質に対し銅-配位子触媒存在下t-ブチル過安息香酸との不斉アリル位酸化により、不斉収率84%eeで化合物を得ることができた。次に化合物の再結晶法による光学純度の向上をねらった。まず、化合物を官能基変換し、結晶性に優れた化合物を合成した。その後、再結晶により>99%eeの化合物を得た。その後、塩基性条件下でヒドロキシル基やアジドをもつ環状化合物の酸化的切断を行った。どの基質に対してもオゾン酸化は効率良く進行し高収率で目的物を得た。得られた光学活性な化合物を酸性条件下水によるエポキシドの開環反応を行い、環状トリオールを得た。さらに、エポキシドをアジ化ナトリウムで開環し、環状アジドジオールも合成した。官能基の保護基にはt-ブチルジメチルシリルを用いた。得られた環状化合物に塩基性条件下、オゾン酸化反応を行い、ジメチルスルフィドで還元した。鎖状トリオール、鎖状アジドジオールはそれぞれ93%,97%の収率で得られた。この手法では三連続した官能基の不斉制御をした光学純度>99%eeのビルディングブロックが合成できた。環状化合物の段階で光延反応やアジドアルコールのアジリジン化を用いることで官能基の位置が異なるものや絶対配置が反転したものも合成でき、天然物の全合成に有用な手法であると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
メソトリックを利用したアリル位酸化反応が不斉収率84%で得られ、この化合物を再結晶することにより、光学的に純粋なオレフィンをもつエポキシアルコールが得られた。このエポキシドを開環し、次いで、オレフィン部分をオゾン酸化することにより、官能基をもった3点が不斉制御されたジアルデヒドを光学的に純粋な形で合成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
官能基をもった3点が不斉制御されたジアルデヒドを光学的に純粋な形で合成することができたので、これらの化合物をキラルビルディングブロックとして用い、一方のアルデヒドにグリニアール反応をほどこし、もう一方のアルデヒドに対して、ウイッテヒ反応を行うことにより、オキシピリン類などの天然物の不斉全合成を行う。
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