研究課題/領域番号 |
23350045
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
柳 日馨 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (80210821)
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研究分担者 |
福山 高英 大阪府立大学, 理学系研究科, 准教授 (60332962)
植田 光洋 大阪府立大学, 理学系研究科, 助教 (60566298)
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キーワード | 光触媒 / C-Hカルボニル化 / デカタングステート / ジエステル / β-ケトアミド / パラジウムラジカル / 一酸化炭素 |
研究概要 |
パラジウム触媒とラジカル種が混在するカルボニル化反応系としてα-ヨード酢酸エステルとオレフィンと一酸化炭素とアルコールからなる4成分連結反応の検討を行い、ジエステル類の簡便合成に成功した。さらにα-ヨード酢酸エステルと分子内に水酸基を有するアルケンと一酸化炭素との三成分連結反応を検討した結果、側鎖にエステル基を有するラクトンを良好な収率で得る事にも成功した。一方、α-ヨード酢酸エステルと分子内にアミノ基を有するアルケンと一酸化炭素との三成分連結反応も検討したが、興味深い事に、対応するラクタムは生起せず、カルボニル化合物としてβ-ケトアミドが生成するという新たな知見が得られた。この反応は酢酸エステルラジカルから対応するパラジウム種が得られた後、カルバモイルパラジウム錯体を経て反応が生起したものと考えられる。つづいてアルカンのC-Hカルボニル化を光照射条件下に検討した。テトラキステトラブチルデカタングステートを光触媒として用いシクロアルカンと一酸化炭素との反応を検討した。その結果、中間体として生成するアシルラジカルの捕捉種として電子不足アルケンとともにアゾジエステルが良好に働く事を見いだした。この系を用いてカルボン酸アミドの効率合成法を開発した。本年度においては金属種とラジカル種が相乗的に機能する系の反応機構を詳細に検討した。別途に調製したパラジウムダイマー錯体の光分解を活用してパラジウムラジカルを発生させて一酸化炭素との反応に供したが、実際に期待したカルボニル化反応が良好に生起する事実を見いだすことが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新規なカルボニル化反応を複数達成した合成化学研究の面での成果に加え、パラジウムラジカル種の発生をパラジウムダイマー錯体の光分解を用いる方法で達成できたことは、研究推進の大きなはずみとなった。
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今後の研究の推進方策 |
各種の金属ダイマー金属錯体から出発して金属ラジカル・炭素ラジカル複合反応系を推進していく。C-Hカルボニル化はシクロアルカンから官能基を持つ基質に応用し、位置選択性を発現する反応系を探索する。
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