研究課題/領域番号 |
23350053
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
伊津野 真一 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50158755)
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研究分担者 |
原口 直樹 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30378260)
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キーワード | 高分子触媒 / 高分子組込み型触媒 / 有機分子触媒 / 第四級アンモニウム塩 / イオン結合型高分子 / スルホン酸アンモニウム塩 |
研究概要 |
有機合成における高分子触媒の有用性が注目されている。特に不斉合成における不斉触媒は高活性だけでなく、反応系からの容易な分離、再使用性、連続的フローシステムへの応用などが重要である。高分子触媒はこれらを可能とすることができる。不斉触媒としては、有機分子触媒が環境調和型触媒としてその重要性が認識されている。高活性を示す不斉有機分子触媒の開発が進んでいるが、遷移金属触媒に比べると必要とされる触媒量は多く触媒回転数の限界も示されている。不斉有機分子触媒の中でも、第四級アンモニウム塩は調製も比較的容易であり、不斉反応によく用いられるが、両親媒性を示す第四級アンモニウム塩は反応後の分離が困難であるため、このような触媒分子の高分子組込みは極めて有用である。 本研究では光学活性第四級アンモニウム塩を高分子主鎖構造に組込む手法について研究を進めた。我々は第四級アンモニウムスルホン酸塩が安定な塩であり、高分子スルホン酸にキラル第四級アンモニウム塩を固定化できることを見出している。このスルホン酸アンモニウム塩構造は、種々の不斉反応の反応条件下で安定に存在できるため、イオン結合によるキラルアンモニウム塩の高分子固定化法として注目されている。第四級アンモニウムハライドとスルホン酸Naによるイオン交換により、第四級アンモニウムスルホネートが定量的に生成する。この反応を第四級アンモニウムハライドの2量体とジスルホン酸Naとの間で行うことにより、分子間イオン交換反応による高分子を生成することに成功した。この重合法はこれまでに無い新しいキラル高分子の合成法であり、室温、無触媒、短時間で容易に高分子量のキラル高分子を合成できる方法として様々な応用が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
イオン結合型高分子有機分子触媒は、これまでに全く例のない高分子触媒であるが、本研究により、新しい重合法を開発し、高活性触媒を合成することに成功した。これら高分子触媒の触媒活性は、対応する低分子の不斉触媒に比べても全く遜色のない性能を示すだけでなく、高分子主鎖構造のデザインによっては、低分子触媒を上回る選択性を示すことが分かった。この点では当初の計画以上の進展があったと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究ではこれまでに高分子主鎖に触媒構造をイオン結合により組み込んだ高分子不斉触媒の合成法を開発できた。イオン結合型キラル高分子については、分子量および分子量分布の制御が今後の課題の一つである。さらに架橋構造を導入することによって高分子触媒の安定性をより高める工夫についても検討する。特に触媒の再使用または連続的フローシステムでの使用において架橋高分子の利用が期待できる。ただし架橋高分子は一般に触媒サイトの反応性を落とすことが多いため架橋構造について詳細に検討する必要がある。
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