研究課題/領域番号 |
23350054
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 紳三郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (50127049)
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研究分担者 |
青木 裕之 京都大学, 先端医工学研究ユニット, 准教授 (90343235)
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キーワード | 単一分子 / 高分子鎖 / 薄膜 / ダイナミクス / 蛍光顕微鏡 |
研究概要 |
本研究では、高分子鎖に導入した蛍光色素分子一個一個の運動をリアルタイムで直接観察することにより、高分子のダイナミクスを直接計測することを目的としており、本年度はこれを実現するための新たな顕微鏡システムの開発を行った。通常のフォーカスを合わせた顕微鏡画像から分子の位置座標(x,y)を、デフォーカス画像から配向角(θ,φ)を評価することで分子一個の並進運動と回転運動の双方を追跡する。位置座標については、計測画像を二次元ガウス関数によってフィッティングすることによって5nmの空間分解能での計測が可能となった。また配向座標は焦点位置から対物レンズを1μmシフトさせたデフォーカス条件で取得した画像を、理論パターンにフィッティングすることで計測した。フィッティングプログラムの最適化によって、1画像あたり10秒程度の計算時間で角度分解能2°を達成することができた。このような単一分子計測は200msのカメラ露光時間で行うことができ、最大でフレームレート5Hzの時間分解能で分子一個の動的挙動を直接観察することができるようになった。また顕微鏡の焦点位置を10nmの分解能で検出し、焦点ずれをフィードバック機構によって補正するシステムを導入した。これによって数時間にわたってデフォーカス観察を継続することが可能となった。このようにして個々の分子の運動性を直上接的追跡できる顕微鏡システムを開発することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画で設定した目標を達成することができており、おおむね計画通りに進捗しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、次年度においては顕微鏡システムの高性能化を行うとともに、蛍光ラベル高分子の観察を行うことで高分子鎖の運動の解析を行う。
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