研究課題/領域番号 |
23350055
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐藤 尚弘 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10196248)
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研究分担者 |
橋爪 章仁 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70294147)
寺尾 憲 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (60334132)
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キーワード | 自己組織化高分子 / ポリイオンコンプレックス / 感熱応答性高分子 / ブロック共重合体 / 高分子ミセル / 光分散 / 熱変性DNA |
研究概要 |
バイオメディカル材料として重要な、ポリイオンコンプレックス、感熱応答性ブロック共重合体、熱変性DNAなどの構造について調べた。 1.ポリイオンコンプレックス最も簡単な化学構造を有する高分子イオンとして,ポリアクリル酸ナトリウムとポリビニルアミン塩酸塩を選び、水溶液中でのポリイオンコンプレックスの形成機構を光散乱法とNMRにより調べた。形成されたポリイオンコンプレックスは水に不溶化し、さらに高次の会合体が形成される。しかし、溶液中に存在する過剰の高分子イオン成分が会合体に付着し、その静電反発力によって会合が停止する。 2.ポリ(N-イソプロピルアミド)-b-ポリ(N-ビニルピロリドン)は、水溶液中で加熱によりサイズの小さい星型ミセルとサイズの大きいベシクルが形成されるが、そのサイズの違いによって両者を同時に調べる方法が、これまでなかった。今年度光散乱と小角X線散乱法を組み合わせることにより、同じ濃度の溶液中における両者の情報を得ることに成功した。同方法も用いて、ポリ(イソプロピルオキサゾリン)-b-ポリ(エチルオキサゾリン)が水溶液中で形成するミセルと球状濃厚相の共存状態についても調べた。 3.熱変性させたDNAを室温に戻した時の1本鎖DNAおよびその会合体め構造を、多角度光散乱検出器付サイズ排除クロマトグラフィーによって調べた。1本鎖DNAと会合体を分離して光散乱法解析が行えるので、熱変性DNAについてこれまで行えなかった詳細な分子特性解析が行えるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光散乱法と小角X線散乱とを組み合わせたミセル溶液の解析や多角度光散乱検出器付サイズ排除クロマトグラフィーによる熱変性DNAの構造解析など、新しい方法論に基づく高分子集合体の構造解析が順調に進んでおり、当該研究の目的は順調に達成されつつある。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿って、順調に進んでいる。ポリイオンコンプレックスの研究では、バイオマテリアルとして重要なヘパリン(ポリアニオン)とキトサン(ポリカチオン)とが形成するポリイオンコンプレックスも研究する。また感熱応答性ブロック共重合体として、新たにポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)とポリ(2-イソプロピル-2-オキサゾリン)のブロック共重合体も研究する。さらに、タンパク質研究には、トランスグルタミナーゼを選び、その熱変性・再性挙動の基礎的知見を得る。
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