研究課題
細胞表面にはコラーゲン,フィブロネクチン等からなる細胞外基質(ECM)に覆われており,細胞表面の局所環境を制御し,細胞の機能性に影響を及ぼすとされている.本研究は,界面敏感のSFG分光法を用い,ECMの機能性をもつとされる生体適合性超分子材料の界面構造を調べた.ポリロタキサン超分子膜の界面構造を調べた結果,そのゲスト分子のα―シクロデキストリンにメチルで終端化された場合のみ,膜表面にあるPEG主鎖が再構成され,メチルが疎水側鎖と作用し,界面集合体が形成されたことが示唆された.これに伴い,ポリロタキサン薄膜の表面形状も大きく変化した. ECMの原因タンパク質の一つとされるフィブリノーゲンの吸着構造を調べた結果,同ポリロタキサン超分子薄膜表面においてのみ,特異的な吸着構造が観測されたので,これによって血小板の付着が阻害される可能性があると推論した.また,細胞接着などにも用いられる高分子電解質(PE)膜の界面構造についても調べた.作成直後の膜界面は最後に累積されたPE分子によるもので,その界面に一定な秩序性を持つことが分かった.一方,放置時間とともに,この界面構造が徐々に変化し,膜内の分子拡散により最終的に混合構造に達することが初めて観測された.このように作製されたPE膜表面に,脂質二分子膜の構造,安定性および界面水構造を調べた結果,著しく影響されたことが分かった.さらに,生体適合性と分解性の観点から,種々の四級アンモニウム表面活性剤分子の単分子膜の界面構造についても検討した.疎水アルキル鎖にアミド基やエステル基などの官能基の導入効果や長鎖アルコール分子との混合による膜構造への影響を検討した.これらの一連の研究により,ECMのモデル物質とする生体適合性超分子材料の界面構造を分子レベルで検討し,その機能性発現機構の理解や材料設計の指針に道を開くものと考えている.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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