研究課題
1.各構造柔軟性層状配位高分子(ELM)試料の二酸化炭素吸着等温線の測定7種のELM試料について、273Kや298Kにおける二酸化炭素吸着等温線を測定し、ゲート現象を示すかどうかを確かめた。これら二酸化炭素吸着挙動についてまとめた。その結果、298K以下では従前から知られている[Cu(bpy)_2(BF_4)_2]_nが、273K以下では[Ni(bpy)_2(BF_4)_2]_nおよび[Cu(bpy)_2(OTf)_2]_n、[Co(bpy)_2(OTf)_2]n系の錯体結晶がそれぞれゲート現象を示した。これら以外のものでもより低温ではゲート現象示すものがあることを明らかにした(232K以下で[Cu(bpy)_2(CF_3BF_3)_2]_n、また210K以下では[Cu(bpy)_2(CF_3BF_3)_2]_n)。ゲート現象を示す吸着材の特徴を抽出し、ゲート現象の機構との関係を考察し、フッ素原子がゲート現象に関与している可能性を示した。2.吸着熱・脱着熱の測定1の測定結果でゲート現象を示す[Cu(bpy)_2(BF_4)_2]n。および[Cu(bpy)_2(OTf)_2]nについて、双子型のセルを備えた東京理工社製伝導熱量型マイクロカロリメータを用い、二酸化炭素の吸着量および脱着量を同時に測定しながら、それぞれ微分吸着熱・脱着熱を測定した。得られた値からゲート現象における構造変化との関係を明らかにした。[Cu(bpy)_2(OTf)_2]_nはカロリメータで測定できる278K~293Kの条件ではゲート現象を示さず、開いたミクロ細孔への吸着に対する吸着熱と脱着熱であり、二酸化炭素の液化熱より非常に大きな値(約25kJ mol^<-1>)を示した。一方、[Cu(bpy)_2(BF_4)_2]_nはゲート現象を示し、構造の変化を伴うにもかかわらず二酸化炭素の気化熱より大きな吸着熱を示し、二酸化炭素の格子内への取り込みにより大きな構造安定化が得られることを示唆した。
2: おおむね順調に進展している
ゲート現象に対して定量的に二酸化炭素吸着熱をマイクロカロリメータにより測定でき、ゲート現象の機構を明らかにする手がかりを得た。
実用的吸着ヒートポンシステムのための基礎データを得、これをもとに本吸着材のヒートポンプシステムへの応用化における問題点・課題を検討する。本検討結果から、応用化を実現するために必要な、理想的な二酸化炭素吸着ヒートポンプ用吸着材の挙動を明らかにする。二酸化炭素吸着に対してゲート現象を示す系において、精密測定・分析を進め、ゲート現象の機構を、平衡論的および速度論的観点から明らかにする。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (11件) 図書 (1件)
J. Phys. Chem. C
巻: 116 ページ: 4157-4162
10.1021/jp210240x
J. Phys. Chem. Lett
巻: 116 ページ: 511-516
10.1021/jz2016704
J. Am. Chem. Soc.
巻: 133 ページ: 10512-10522
10.1021/ja201170c
J.Nanomater.
巻: 2011 ページ: 853989,7
doi:10.1155/2011/853989
Adsorption
巻: 17 ページ: 643-651
DOI10.1007/s10450-011-9358-y
Chem.Phys.Lett.
巻: 501 ページ: 485-490
doi:10.1016/j.cplett.2010.11.086
J.Am.Chem.Soc.
巻: 133 ページ: 2022-2024
DOI:10.1021/ja1086886
Langmuir
巻: 27 ページ: 6905-6909
DOI:10.1021/la201008v
巻: 133 ページ: 10344-10347
DOI:10.1021/ja202565r
Int.J.Hydrogen Energy
巻: 36 ページ: 12902-12908
巻: 133 ページ: 14880-14883
DOI:10.1021/ja205832z
Chem.Lett.
巻: 40 ページ: 1089-1091
doi:10.1246/cl.2011.1089
表面
巻: 49 ページ: 149-160