研究課題
[ゲート現象の機構解明] 昨年度、ELM-11が2段階で構造変化を伴いながらCO2を吸着する「2段階ゲート現象」について明らかにした。異なる温度で得たX線回折パターンを解析するために、273 Kにおける前処理後と1段階目のゲートオープン後のデータについて詳細に検討し、構造パラメータを決定した。それらをもとに195 Kにおける2段階目のゲートオープン後のX線回折パターンを解析した。このような構造変化に対応する分子シミュレーションを行った結果、一層目では30%の層間隔の拡張、2段階目では元の50%の層間隔の拡張と二酸化炭素吸着量が実験結果と良く対応することを明らかにした。さらに、CO2と水蒸気をともに吸蔵する炭酸ナトリウムと炭酸カリウムのCO2吸蔵について評価した。本反応の発熱量は大きいが、反面、材料の再生(CO2と水蒸気の脱着)に大きなエネルギーを必要とすることがわかった。本反応は化学反応ではあるが、比較的低い温度で可逆的に進行するので、ケミカルヒートポンプへの応用が期待できる。[二酸化炭素吸着ヒートポンプの概念設計] これまで市販化されている吸着ヒートポンプを用いた吸着式冷凍機やエコキュートとして知られるCO2を冷媒として用いるヒートポンプに対して、ELM-11を用いる利点について検討した。吸着式冷凍機ではCO2を密閉式凝縮-液化室の圧力をおよそ70気圧以上にする必要があり、原理的には可能であるが実際的ではない。また、エコキュートにおけるコンプレッサーの大きな電気エネルギーを下げるために吸着反応の熱を利用するという方式が考えられるが、熱交換効率が下がると予想されるので、実験によって定量的に議論する必要がある。1の項目で記述された炭酸アルカリ金属塩のCO2と水蒸気との反応はケミカルヒートポンプとして、その反応熱の利用を考える方がより効率的であると結論した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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