研究課題
本研究は、RNA成熟システムの詳細について、主に生物の三つのドメイン(真核生物、真正細菌、古細菌)を比較し、システムを構成する核酸やタンパク質の機能を構造を基本に解明しようとするものである。本研究は平成23~25年度の3年計画であり、平成25年度は最終年度にあたる。平成25年度には、3つの論文を出版し、2つの総説をまとめ、18の学会発表、2つの招待講演を行った。まず、ヒト細胞に熱ショックを与えた時、タンパク質合成系が一時的に停止する現象は古くから知られていたが、東京大学、岡山大学と共同して、この原因として開始メチオニンtRNAが特異的に分解されることおよび分解に関与するヌクレアーゼを特定することができた(Watanabe et al. (2013) Nucleic Acids Res.41, 4671-4685)。これは、ガン温熱療法のガン細胞内で何が起こっているのかを考える上で重要な成果であると言える。次いで、タンパク質ノット型RNAメチル化酵素の多段階基質tRNA認識機構において、初期結合過程では基質tRNAと基質にならないtRNAは区別されず複合体形成が起こること、基質にならないtRNAは、誘導適応過程で保存モチーフ2の動きを伴って排除されることを報告した(Ochi et al. (2013) J. Biol. Chem. 288, 25562-25574)。3つ目の論文は、好熱好酸古細菌のtRNA修飾に関するもので、アンチコドン一文字目に古細菌では報告されていなかった真核生物型の修飾があること、また、7-メチルグアノシンがすべての生物で新規ポジションに当たる49位に存在することなどを報告した(Tomikawa et al. (2013) FEBS Lett. 587, 3575-3580)。総説のうち一報は、現在、修正原稿が審査中であり、業績欄には記述していない。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Frontiers in Genetics
巻: in press ページ: in press
Nucleic Acids Res.
巻: 41 ページ: 4671-4685
doi: 10.1093/nar/gkt153.
J. Biol. Chem.
巻: 288 ページ: 25562-25574
doi: 10.1074/jbc.M113.485128.
FEBS Letters
巻: 587 ページ: 3575-3580
doi: 10.1016/j.febslet.2013.09.021
http://www.ehime-u.ac.jp/~achem/bchem/