研究課題/領域番号 |
23350086
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
川口 正剛 山形大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00204694)
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キーワード | 電子ペーパー / 高分子微粒子 / 分散重合 / デジタルペーパー / カラー微粒子 / 帯電制御 / マクロモノマー / 電気泳動 |
研究概要 |
「電子ペーパー」はデジタルペーパーとも呼ばれ、書き換え可能で紙がもつ手軽さ、柔軟性、薄さ、高視認性、そしてメモリー性などの機能を有する次世代の反射型ディスプレイである。この表示素子においてその表示を担う最も重要なKeyマテリアルは、無極性媒体中に存在(分散)した微粒子(電子インク)である。しかしながら、これまで電子ペーパーに用いられる微粒子の設計および基礎物性に関する研究は皆無である。本研究では、高精細な電子ペーパーのフルカラー化を達成するために、無極性媒体中で白、イエロー、マゼンタ、シアン色を有する単分散かつ高性能な着色高分子電子インクの設計・合成およびそのような液体中において微粒子の帯電制御に関する基礎的かつ根本的理解を得ることを目的とした。本年度は以下の研究成果を得た。 1.メタクリル酸メチル(MMA)を主モノマーとして用い、アクリロニトリルをコモノマーとして用いることによって単分散な微粒子を収率高く合成できる条件が見いだされた。マクロモノマー濃度を変化させることによって微粒子径を設計できること、重合性の機能染料を用いることによって、単分散かつサブミクロンサイズのY, M,Cのカラー微粒子の精密に合成できる条件を見出した。 2.Tio_2微粒子やZrO_2微粒子などの無機微粒子とポリ(2-ビニルナフタレン)との複合化について、無機微粒子のカプセル化とポスト重合法の2種類の方法について検討を行い、高屈折率な白色微粒子の合成方法する条件を見出した。 3.RAFT重合法を用いて帯電性基を有する機能性マクロモノマーの合成技術の開発を行った。また、このマクロモノマーを用いた分散重合によって、電気泳動性の高いカラー微粒子が合成できることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請課題の目的達成のためには、1カラー微粒子の精密合成技術の確立、2帯電制御技術の確立、3電気泳動評価技術の確立にある。このうち、1はほぼ完成し、2についてもその方法論の確立と可能性が見いだされてきている。3については次年度以降詳細に検討することによって、研究期間内にすべての目的が達成できると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
カラー微粒子の合成技術はほほ完成しているため、今後の推進方策として「帯電機能を有するマクロモノマーの合成とそれを用いた微粒子合成」に研究を傾注する。具体的には、マクロモノマー合成にはRAFT重合法と末端基変換法を用い、その方法論の確立に重点を置く。さらに微粒子の電気泳動特性に及ぼす添加剤の効果と電気泳動評価技術の確立を目指し、両者を同時並行的に行うことによって研究を推進する。
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