全固体蓄電デバイスは安全性に優れた蓄電システムであるため、定置用電源や電気自動車用電源として期待されている。特にリチウムイオン電池の全固体化は国内外を問わず産官学で盛んに研究されている。全固体電池の課題は活物質と電解質の接触が固体/固体接合となるため、活物質と電解質間でリチウムイオンが移動する際に非常に大きな抵抗が生じることである。そこで、本研究では、活物質と電解質間にイオン液体を入れることにより、擬全固体電池を構築し、さらに、リチウムイオンの移動を速やかに進行させることを目的とした。平成23年、平成24年度では、活物質とイオン液体間でのリチウムイオン移動に伴う活性化障壁を交流インピーダンス法を用いて明らかにした。その結果、負極側では活性化障壁が高く、正極側では低いという結果を得た。そこで、平成25年度では、リチウム金属に対して耐還元性の高いLLZを用い、リチウム金属負極の使用が可能かどうかを検討した。その結果、LLZの焼結性が悪いために、イオン液体とLLZ間で非常に大きな抵抗が発生することを見出した。これを解決するために、LLZの焼結性を向上させることで対応したが、イオン液体とLLZ間の大きな抵抗を低減させることができなかった。また、イオン液体の中に有機溶媒を少し添加すると抵抗を若干低減させることはできた。これらの結果より、リチウム金属を負極に用いる場合には、界面抵抗を低減させる必要があることを見出した。
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