研究課題/領域番号 |
23350094
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
伯田 幸也 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (30250707)
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研究分担者 |
陶 究 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 研究員 (60333845)
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キーワード | ペロブスカイト酸化物 / 蛍光体 / PL / EL / 水熱合成 / 超臨界水 |
研究概要 |
本研究は、粒子径を制御された希土類元素ドープ型のペロブスカイト蛍光体ナノ結晶の合成と得られたナノ蛍光体の素子、デバイスへの応用の可能性を明らかにすることを目的とする。 本年度は、実験に先立ち、本研究で用いる合成装置の設計、製作を行った。ELデバイスの試作を行うために20-30g程度のナノ粒子が必要であることと反応管由来の不純物の抑制することを念頭に設計を行った。装置は、現有のポンプ等を流用し、新規に加熱炉等を導入し、ナノ粒子が毎時5~10g生産できる仕様とした。また、反応管には耐食を考慮し、チタン内張り管を使用した。実際に、装置を試作し以下の検討を行った。まず、Prイオンをドープしたチタン酸カルシウム系ナノ粒子を対象として、温度、原料組成、反応時間を操作変数とした広範条件の合成実験を行い、ペロブスカイト相が生成する条件および粒子サイズ制御因子の検討を行った。その結果、プロブスカイト相が形成される溶液、温度条件を明らかにできた。また、反応温度によって10~30nmの範囲でサイズの異なるナノ粒子が得られることがわかった。また、粒子のPL発光強度は高温ほど高くなり、特に、水の臨界温度を超えると数倍程度発光強度が高くなる傾向が確認できた。 得られた結果に基づいて、より発光特性の優れているストロンチウム・カルシウムチタネートナノ粒子の合成を行い、粒子サイズや発光強度について、ほぼ同様の傾向があることを確認できた。さらに、ジルコン酸カルシウム径ナノ粒子の合成に適用したところ、PL発光は確認できたが、チタン酸系ナノ粒子の合成条件では、ジルコン酸系ペロブスカイト相は得られないことがわかった。ジルコン酸系の場合、反応温度、時間、原料等の再検討が必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
チタン酸系蛍光体ナノ粒子の合成条件、サイズ制御因子の解明ができ、今年度の研究計画上の課題は概ね達成できたため。
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今後の研究の推進方策 |
今度は、ナノ粒子分散型ELデバイスとしての有効性を明らかにするために、チタン酸系蛍光体ナノ粒子のEL特性の評価、特に粒子サイズ依存性を調べるとともに、デバイス化を目指した分散薄膜調整法の確立を進める。また、緑色、青色蛍光体ナノ粒子の合成条件を解明するために、反応装置の改良(高温対応、長時間反応(20秒程度))を行う。
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