研究課題/領域番号 |
23350094
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
伯田 幸也 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (30250707)
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研究分担者 |
陶 究 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 研究員 (60333845)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 電気・電子材料 / ナノ蛍光体 / 分散型EL / 超臨界水熱合成 |
研究概要 |
本研究は、粒子径を制御された希土類元素ドープ型のペロブスカイト蛍光体ナノ結晶の合成と得られたナノ蛍光体の素子、デバイスへの応用の可能性を明らかにすることを目的とし、平成24年度は、以下の課題について実験的検討を行った。 ペロブスカイト蛍光体ナノ結晶の合成と粒子特性評価においては、本年度は、母体としてCaZrO3 を、発光イオンとしては希土類イオンのTbを用いて、緑色および青色発光蛍光体の合成を試みた。原料組成、反応温度、圧力を広範囲で変化させて合成を試みたが、目的相であるペロブスカイトは得られず、生成物は正方晶ジルコニアであった。一方、CaSnO3を母体として用いた場合、XRDによれは、酸化スズとペロブスカイトの混合物が得られ、緑色のPL発光も観察できた。 PL,EL 特性評価とモデル素子の試作については、前年度作製したチタン酸系ペロブスカイトナノ粒子を使い、発光素子の試作を行った。本年度は、ナノ粒子分散膜の厚みの発光開始電圧および発光強度への影響を調べた。試料には、超臨界水熱合成した蛍光体ナノ粒子を大気中で1000℃で8時間焼成したものを用いた。厚みはスペーサーによって制御した。その結果、50μmでは発光開始電圧が400Vであったのに対して、膜厚を10μmとすることで、発光開始電圧が20Vと劇的に下げることができることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
緑色および青色ペロブスカイト型蛍光体粒子の合成において、CaZrO3系の合成はできなかったが、ペロブスカイト結晶構造を有するCaSnO3粒子の合成に成功し、PL発光も確認できている。 粒子サイズは反応温度および反応時間によって制御できることが確認でき、モデル化に必要なデータも蓄積されてきている。 ナノ蛍光体を用いた電気発光素子の試作においては、後焼成したナノ粒子を用い、粒子膜厚を制御することで、発光電圧を20V程度まで下げることができ、商用電力(100V)を利用する可能性が見いだせた。 以上のように、おおよそ年度ごとの目的を達成できている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、目標達成のため、次の2点に集約して研究を進める。 スズ系ペロブスカイトによる緑、青蛍光体粒子の合成を行う。原料溶液組成、pHを操作パラメータとして、単一相ナノ粒子合成条件を策定する。 電子発光素子の試作においては、発光効率、輝度および耐電圧の向上を図るため、素子構造、例えば、誘電体ナノ粒子を用いた多層構造化を行い、膜厚や層数と発光特性の評価を進め、低電圧発光素子の設計に必要なデータを獲得する。
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