研究課題
前年度に引き続き様々な方法により近赤外領域に吸収を持つ色素を合成、報告する事に成功した。これらは太陽エネルギーを有効に吸収する為、或は癌の光化学治療、偽もの検出の為の見えない色素として活用できる物である。以下に代表的論文の成果を記述する。1)中心金属として典型元素である燐、ヒ素、アンチモンを用い、主吸収を1000-1100nmに有するフタロシアニンを設計した。このこの化合物はこの波長に吸収が有るため色が殆どついて居ない。又蛍光も1100nm以上に検出でき、世界記録である。2)巨大芳香環化合物の周辺部に電子吸引機と供与基を4つずつ配置させ、対称性の違いにより、近赤外領域の異なった領域に吸収帯を持ってくる事に成功した。3)ピロールの代わりにチオフェンを導入した芳香環は閉環型と開環型の構造をとり、閉環してπ系が大きくなると近赤外領域に強い吸収を示した。4)アザBODIPYと言うピロール誘導体を2つ直線状につなぎ、更にそれを2量化して主吸収を近赤外領域に移動させる事に成功した。これらの化合物はホウ素を1つ或は2つ含み、特に強い近赤外蛍光を発し、癌組織の検出に役立つ候補化合物である。5)通常化合物は会合すると蛍光が減少するが、逆に増大する化合物を合成し、それを証明した。6)テトラアザポルフィリンの周辺に電子リッチな硫黄、窒素等を修飾し、中心元素として燐を用いて近赤外領域の幅広い領域に吸収を持たせる事に成功した。7)コロールというC2v型の化合物に燐を中心に挿入し、この化合物が生体内で強い蛍光を発する事、即ち癌組織の検出に使用できる事を報告した。8)両親媒性フタロシアニンを用い、蛍光の量子収率が対面型2量化の程度と比例関係に有る事を証明し、癌検出には会合しない化合物を作らねばならない事を示した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (18件) (うち査読あり 18件、 オープンアクセス 18件、 謝辞記載あり 18件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 2件)
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