研究課題/領域番号 |
23350096
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究分野 |
有機工業材料
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
横山 泰 横浜国立大学, 工学研究科, 教授 (60134897)
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キーワード | フォトクロミズム / ジアステレオ選択性 / エナンチオ選択性 / ジアリールエテン / インデノール / ヒト血清アルブミン / 量子収率 |
研究概要 |
平成23年度には、以下の二つのことを行う計画をたて、実行した。 (1)ビスアリールインデノールという、不斉炭素を持つフォトクロミック化合物で、ヘキサトリエン系のラセンの巻き方を水素結合によって制御し、高いジアステレオ選択性と高い光反応量子収率を達成する。 ビスアリールインデノンへのアルキルリチウムの反応によって、アルコールの付け根に導入するアルキル基を種々変えた化合物を合成した結果、t-Bu基の際にヘキサン中で光反応を行うと、ジアステレオ選択性100%、光環化量子収率0.85を記録した。今のところこの化合物以外にジアステレオ選択性100%を記録していない。今後、導入する置換基および骨格の最適化によってさらに高性能の化合物を合成する。 (2)置かれた媒体の不斉を感知して、エナンチオ選択的なフォトクロミズムを示す化合物を合成する。 当初、トリエチレングリコール鎖による環構造によって面性不斉を持たせた化合物を合成し、その鎖が動くことによって不斉が誘起されることを考えていたが、その鎖が無い場合はヘキサトリエンのラセン構造が媒体によって直接偏り、そこに光照射することによってエナンチオ選択的なフォトクロミック環化反応が起きるであろうことが分かった。そこで、ヒト血清アルブミン(HSA)を不斉媒体に選んで、このことを検証した。水酸基を有するジアリールエテンを合成し、HSAに取り込ませ、光照射をしてエナンチオ選択性を調べた結果、水酸基を構造の外側に持つビスチエニルエテンが、60%を超えるエナンチオ選択性を示した。水酸基をラセン構造の内側に持つ化合物は30%以下のエナンチオ選択性であり、水酸基を持たない化合物はその中間の値を示した。このことから、ジアリールエテンの構造自体がHSAの中でヘリカルな構造をとり、水酸基の置換する位置によってラセン構造の偏りが強調されたり弱められたりすることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成23年度に、ジアステレオ選択性100%を達成し、環化量子収率も0.85と非常に大きな値を達成することができた。さらに、HSAを媒体としたエナンチオ選択積フォトクロミズムにおいて、すでに60%eeを超す値を記録した。これは、初年度の成果としては素晴らしい結果である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、(1)高いジアステレオ選択性および大きい環化量子収率、については、二つの水酸基を分子内にもつ化合物を合成し、らせん制御能力をより高めた化合物を合成する。(2)不斉媒体中で高いエナンチオ選択性を示すジアリールエテン、については、他の化合物を合成して検討することと、HSA以外の不斉媒体を用いることを検討する。
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