研究課題/領域番号 |
23350100
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究分野 |
無機工業材料
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鈴木 義和 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (40357281)
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キーワード | 擬ブルッカイト / 二チタン酸マグネシウム / 三次元ネットワーク型多孔体 / X線吸収スペクトル / その場合成 / その場コーティング / 反応焼結 / スピネル |
研究概要 |
本研究の目的は、MgTi_2O_5を中心とする擬ブルッカイト型構造を有する三次元ネットワーク型多孔体について、「MgTi2O5多孔体の基礎物性評価」、「MgTi_2O_5を主成分とする擬ブルッカイト系の展開」、さらに、「信頼性・環境調和性・コストを含めた部材応用の高度化」の3つの項目について研究を実施し、低熱膨張・環境調和型セラミックス多孔体の応用を目指すものである。本研究での材料系はMgO、TiO_2など資源的・地政学的リスクが少なく、安全かつ比較的安価な材料を用いていることが特徴であり、資源に乏しいわが国にとっての意義は大きい。 平成23年度の研究実績については以下のとおりである。 1.MgTi_2O_5多孔体の基礎物性評価について、焼結温度を変化させ測定したX線吸収スペクトルデータ(SPring-8)を解析し、擬ブルッカイト構造の局所変化についての考察を行った(Adv.Eng.Mater.誌に投稿中)。 2.MgTi_2O_5を主成分とする擬ブルッカイト系の展開について、出発原料組成比を厳密に制御することで、より結晶性の高い異方性MgTi_2O_5粒子を得ることに成功した(投稿中)。 3.信頼性・環境調和性・コストを含めた部材応用の高度化について、その場合成と同時に表面コーティングを行う「その場コーティング」プロセスの開発に成功した。MgTi_2O_5表面に化学的安定性等に優れたスピネル相を焼結過程コーティングすることができた(投稿中)。 また、三次元ネットワーク多孔体に関する研究成果を体系化し、日本学術振興会124委員会等で講演を行い技術の普及に努めた。さらに、TiO_2原料粉末の合成に関して2件の共著論文を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究機関の移籍(京都大学→筑波大学)、震災による影響があったものの、「MgTi_2O_5多孔体の基礎物性評価」、「MgTi_2O_5を主成分とする擬ブルッカイト系の展開」、「信頼性・環境調和性・コストを含めた部材応用の高度化」の各項目で進展がみられている。部材応用については、水銀圧入法用の標準試料としての応用もすすんでいる(測定機器メーカーにサンプル提供)。論文化については、初年度ということもあり投稿中の段階であるため、(2)の区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定どおり、2年度目(平成24年度)には、「MgTi_2O_5多孔体の基礎物性評価」については、弾性率、熱膨張等の物性測定、顕微ラマン-AFM複合解析等を行う。また、「MgTi_2O_5を主成分とする擬ブルッカイト系の展開」については、MgO-Al_2O_3-TiO_2三元系を中心とした、擬ブルッカイト固溶体による高性能化を目指す。また、一部、磁場配向等も検討する予定である。「信頼性・環境調和性・コストを含めた部材応用の高度化」については、フィルター特性評価を可能とする部材化を進める予定である。3年度目、4年度目については、特に部材化を中心に検討を進める方針である。
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