研究課題/領域番号 |
23350112
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
金子 達雄 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 准教授 (20292047)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | バイオプラスチック / 高耐熱材料 / 液晶高分子 / 成形材料 / 高分子合成 |
研究概要 |
本年度は放線菌由来抽出分子として3-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸(34AHBA)と3-アミノ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド(34AHBAL)を用いて、その誘導体化および重合に関する研究をさらに進めた。具体的な研究内容を以下に示す。 1、放線菌の培養と培養液からの34AHBALの抽出:放線菌Streptomyces griceusの遺伝子組み換え体の培養液から34AHBALの抽出行程を改善し、抽出と同時に重合体の酸分解処理を行うことで、より高濃度の34AHBALが得られることが分かった。 2、34AHBALとアミノ化合物との反応条件の確立:まず、34AHBALの酢酸エチル抽出液に高反応性のヒドラジンを用いて研究を進めた結果、34AHBALのアルデヒド部位がアジンを介してカップリングし、ビス-o-アミノフェノール型のモノマーが得られることが判明した。 3、各種モノマーの重合条件の確立と物性評価:2のモノマーを重合するために以下の二種類の方法を試みた。1)トリメチルシリル化後イソフタルクロリドなどの芳香族ジカルボン酸クロリドと反応させた。2)イソフタル酸と非酸化性脱水溶媒(ポリリン酸)を用いて直接加熱重縮合した。いずれの場合にも粘性の上昇が見られ重合はある程度進んだと考えられる。また、34AHBAの誘導体である3-ベンジリデンアミノ-4-ヒドロキシ安息香酸と4-ヒドロキシ桂皮酸の共重合に関して、非常に興味深い現象が見られた。これらの配向フィルムの偏光発光性を調べた結果、従来の配向性蛍光色素と同様に直線偏光を発光することが分かった。さらに、励起偏光を配向方向とは交差する方向に入射し発光特性を調べた結果、予想とは異なる波長で発光性が見られ偏光方向を変えることで異なる色の発光が成されることが初めて見いだされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
放線菌Streptomyces griceusの遺伝子組み換え体の培養液から3-アミノ-4-ヒドロキシベンズアルデヒドが抽出でき、その誘導体由来のポリベンゾオキサゾールが得られることが分かった。また、それに類似した高分子の特徴的な偏光発光性が見られた。しかし、ポリベンゾオキサゾールの分子量が不十分であることと、光学活性物質との反応に問題が残されており、課題③において未達の部分がある。そのため、やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
当初の目的である3-アミノ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド由来の非対称モノマーの合成・精製および重合条件の確立に関して、さらに研究を進める予定ではあるが、目的とする非対称モノマーが得られるかどうかの確証はまだ得られていない。そこで、3-アミノ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド誘導体を用いて異なる合成ルートを開拓し、目的とするアミノ酸含有モノマーおよび非対称ポリベンズオキサゾールを合成する研究を進める予定である。以上により、高性能ポリベンズオキサゾール材料の創出を行う。 また、千円未満の少額の未使用額が発生しているが、これは消耗品の金額調整の際に生じたものであり、当該年度および来年度の研究計画に何ら影響は生じない。
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