研究課題
本年度は,イオン液体(IL)部をラジカル重合基の側鎖として有するILポリマー(PIL)に焦点を当てた。特に,①分散重合によるミクロンサイズで単分散なPIL微粒子の合成,②①で得られた粒子を用いて,汎用モノマーとシード分散重合を行う複合粒子の合成,③PILの乳化重合への適用とその重合条件の最適化,の3点を軸として検討を進めた。①ILモノマー [MTMA][TFSA]を用いて分散重合を行ったところ,汎用モノマー系の知見を適用することができたが,安定剤濃度による影響が少なかったことは,IL系特有である。また,ILはアニオン交換により溶解性など物性が簡便に変化させることができる特徴的な性質を有しているが,得られたエマルションにLiBr を添加したところ,アニオン交換によりポリマーの溶解性が変化し,エマルションが透明な溶液になる様子が観察され,ILポリマー粒子は塩刺激応答性を有することが明らかとなった。②①で作製したP[MTMA][TFSA]粒子を用いてスチレンやメタクリル酸メチルなどの汎用性モノマーのシード分散重合を行い,複合化によるモルフォロジイなど界面化学的検討を行った。③[MTMA][TFSA]を乳化重合へ適用したところ,通常用いられるアニオン性乳化剤を添加すると,それらと[MTMA][TFSA]の間でアニオン交換が生じたため,粒子の安定性が低下し,凝集体を形成してしまった。そこでノニオン性乳化剤を用いたところ,汎用モノマー系よりも非常に少ない乳化剤量系で安定なエマルションが得られた。さらに,得られたPoly([MTMA][TFSA])粒子のゼータ電位を測定したところ,ノニオン性の乳化剤を用いているにも関わらず,強い正の電荷を示した。この高い表面電荷を利用し,無乳化剤乳化重合への適用を試みたところ,重合条件を調整することによりILポリマー微粒子の作製に成功した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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10.1016/j.jcis.2013.02.010.