研究課題/領域番号 |
23350117
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研究機関 | 一般財団法人川村理化学研究所 |
研究代表者 |
原口 和敏 一般財団法人川村理化学研究所, 材料化学研究室, 所長(兼 室長) (10373391)
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研究分担者 |
高田 哲生 一般財団法人川村理化学研究所, 材料化学研究室, 主席研究員 (00425670)
武久 敢 一般財団法人川村理化学研究所, 材料化学研究室, 研究主任 (70425669)
寿 典子 一般財団法人川村理化学研究所, 材料化学研究室, 研究員 (20435746)
加藤 愼治 一般財団法人川村理化学研究所, 高分子化学研究室, 室長 (10415458)
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キーワード | ゲル / ナノコンポジットゲル / 有機/無機ハイブリッド / 光重合 / 高強度 / 超疎水性 / 細胞培養 / 刺激応答性 |
研究概要 |
ハイブリッド型ソフトマターの創製、新機能、及び「有機-無機ネットワーク構造」に関して以下の成果を得た。 (1) 有機-無機ネットワーク構造の動力学的挙動:NCゲル表面につけた創傷が密着して保持するだけで自然治癒すること、更に、切断されたNCゲルでさえ切断面同士の密着保持により再結合し、元のゲル状態に戻ることを見いだした。自然治癒に必要な温度・時間の効果、ゲル組成の影響などを明らかにすると共に、ネットワーク構造に基づく自然治癒機構を提案した。また、異なるNCゲル同士を自然治癒法を用いて複合化することで、新たな界面創出が行えることを見いだした。 (2) ネットワークの変性と機能:NCゲルの水膨潤挙動を詳細に調べ、膨潤に続き自発的収縮挙動を示すことを見いだした。この膨潤-収縮挙動機構がクレイ対イオンの連続的な排出に伴う電解質ゲルとしての特性によること、またイオン再導入により可逆的な膨潤-収縮が可能であることを見いだした。 (3) 生体および細胞との作用と制御:疎水性ソフトマターの表面で、種々の細胞が効率良く培養され、且つ、温度低下により培養細胞が単細胞または細胞シートの形態で自動剥離されることを見いだした。 (4) ソフトマターの制御による機能創出:超薄膜、ナノコート、微粒子状NCゲルを調製し、それらのモルフォロジー解析、機能評価を進めた。 (5) 他種高分子系への展開:親/疎水性の大きく異なる2種のモノマーの共重合系を用いてNCゲルを合成することにより、新しい刺激応答性NCゲルの開発に成功した。この共重合NCゲルは、温度、pH、無機塩、溶媒などの変化により、透明性・ゲル体積の大きな可逆的変化を示した。また、ゲル乾燥により、柔軟・透明ソフトNCが得られた。新たに分子設計した星型およびトリブロックポリマー(リビングラジカル重合で合成)が優れた低タンパク吸着性と生体適合性を示すことを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ソフトマターとしての有機-無機ネットワークの構造・機能を次々と明らかにしており、順調に研究が進展している。更に、予想しなかった物性や機能についても予備的に発見され始めている。
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今後の研究の推進方策 |
計画に従って、5項目について有機-無機ネットワークおよびソフトマター(NCゲル)の構造および機能解明を進めると共に、新たな合成、化学的変性、複合化により、更に大きな物性変化や新機能発現にチャレンジし、研究領域の拡大に努める。
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