研究課題/領域番号 |
23350117
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研究機関 | 一般財団法人川村理化学研究所 |
研究代表者 |
原口 和敏 一般財団法人川村理化学研究所, その他部局等, 所長(兼 室長) (10373391)
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研究分担者 |
高田 哲生 一般財団法人川村理化学研究所, 材料化学研究室, 主席研究員 (00425670)
加藤 愼治 一般財団法人川村理化学研究所, 高分子化学研究室, 室長 (10415458)
寿 典子 一般財団法人川村理化学研究所, 材料化学研究室, 研究員 (20435746)
武久 敢 一般財団法人川村理化学研究所, 材料化学研究室, 研究主任 (70425669)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ゲル / ナノコンポジット / 有機/無機ハイブリッド / 光重合 / 高強度 / クレイ / 細胞培養 / 刺激応答性 |
研究概要 |
ハイブリッド型ソフトマターの合成・新機能、ネットワーク構造に関して以下の成果を得た。 (1) 有機-無機ネットワーク構造の動力学的挙動:有機-無機ネットワーク形成により、有機高分子(ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド):PNIPA)のコイル-グロビュール転移およびガラス転移がどのように変化するかを明確にした。また、NCゲルの延伸(高強度)およびヒステリシスの発現メカニズムをSAXSおよびSANS測定で明らかにした。 (2) ネットワークの変性と機能:昨年度見出した非温感性NCゲルの特異的な膨潤-収縮挙動に及ぼす無機塩の影響を検討し、1価と多価イオンで大きく変化が異なることや可逆的膨潤-収縮を発現させる条件などを明確にした。また、水からアルコールへの媒体置換に伴うネットワーク変化を明らかにした。 (3) 生体および細胞との作用と制御:昨年度開発した(非PNIPA系)新規温感性NCゲル上で、ヒト間葉系幹細胞を始めとする多種の細胞が良好に培養できること、温度変化により培養細胞を回収できること、および培養細胞が未分化状態であり誘導因子によって分化可能であることを見出した。 (4) ソフトマターの制御による機能創出:微粒子状NCゲルの合成、構造解析、機能評価を進めた。また、低タンパク吸着性に優れたブロック共重合体をリビング重合により合成し、そのコート表面が生体適合性に優れていることを見出した。更に、貴金属ナノ粒子とクレイや層状複水酸化物との複合体の合成に成功し、優れた触媒活性および耐熱性を確認した。 (5) 他種高分子系への展開:同一分子の中にカチオンとアニオンを有する双性イオンポリマーを合成し、得られた物理架橋および化学架橋ゲルの物性とUCST型相転移挙動を明らかにした。また、双性イオン型NCゲルの合成に成功し、優れた力学物性、均一性、制御された相転移温度を有する透明ヒドロゲルが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ソフトマターに関して有機-無機ネットワーク特性・機能を次々と明らかにしており、順調に研究が進展している。更に、予想しなかった物性や機能(例えば、ヒト間葉系幹細胞・ヒト骨髄幹細胞・マウスES細胞の培養/分化、優れた低タンパク吸着性や生体適合性、更には超耐熱性と触媒活性を示す貴金属/クレイナノ複合体)についても発見され始めている。
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今後の研究の推進方策 |
計画に従って、5項目について有機-無機ネットワークおよびソフトマター(NCゲル)の構造および機能解明を進めると共に、新たな合成、化学的変性、複合化により、更に大きな物性変化や新機能発現にチャレンジし、研究領域の拡大に努める。
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