研究課題/領域番号 |
23350118
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
福田 隆史 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (50357894)
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研究分担者 |
石田 尚之 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (80344133)
安部 浩司 独立行政法人産業技術総合研究所, フレキシブルエレクト ロニクス研究センター, 主任研究員 (80356378)
牛島 洋史 独立行政法人産業技術総合研究所, フレキシブルエレクト ロニクス研究センター, 研究チーム長 (80356568)
福田 伸子 独立行政法人産業技術総合研究所, フレキシブルエレクト ロニクス研究センター, 主任研究員 (90360635)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | バイオセンサー / 局在プラズモン / 電場増幅効果 / スクリーニングチップ |
研究概要 |
H24年度は当初計画に記載の5つの課題に加え、ポータビリティに優れた超小型スペクトル計測器の試作にも取組み、以下の成果を得た。 [1]「アトリットル空間の創成」: 昨年度に有効性を確認した『微粒子を鋳型とするプロセス』の再現性を向上させ、プロトコルを確立した。/ [2]「アトリットル空間の位置制御」: 微粒子分散液に変成ポリビニルアルコールを数wt%程度添加すると微粒子の相関距離を制御できることを見出した。また、形成される構造の口径と構造高さは添加濃度に依存して変化するが、条件によってチップの透過スペクトルが狭帯化できることも見出した。/ [3]「電場閉じ込め効果の検証」: [2]の実験結果を検討するため、構造モデルのアスペクト比をパラメータとしてFDTDシミュレーションを行い、より理想的なアスペクト比について推定した。/ [4]「種々のプローブによるアトリットル空間内壁の修飾」:目的の抗体(タンパク質)は反応性のリジン残基を有するため、活性エステルとアミノ基の縮合で固定化できることに注目した。まず、『カルボン酸末端のチオール』と『アルカンチオール』を9:1程度に混合して金表面に自己組織化単分子膜を形成した。次に、カルボン酸を反応性イミドエステルに改変し、最後に抗体を固定化した。/ [5]「種々のマーカーに対する検出感度の評価」:C反応性タンパクとレプチン検出用の抗体でチップ表面の化学修飾を行い、応答の再現性や定量性が大幅に改善できることを確認した。さらに、[4]のチオール処理表面はインフルエンザ検出用チップにも効果を与えることを確認した。/ [6]「超小型スペクトル計測器の試作」:パームトップサイズ、かつ、スマートデバイスで無線操作可能なスペクトル計測器を試作し、反応前後のスペクトル変化を当該機器で検出できることを確認した。その成果は、展示会とプレス発表を通じて発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画に沿って、チップの高性能化を進めることに成功し、(夾雑物を含まない試薬を用いた検証レベルではあるものの)、C反応性タンパク・レプチン・インフルエンザウィルスについて従来法の1000倍以上の高感度検出が可能であることを実証した。さらに、ポータブル検出器(約600g)を試作し、デモンストレーションに成功した。この成果は、ポイントオブケアテストの実現に向けて意義深い成果であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの研究進捗は当初計画を上回るペースで成果を上げており、H25年度はさらに企業との連携を強化して実用化に向けた基盤固めとその応用のためのデモンストレーションのレベルアップを進めてゆく。また、チップの性能検証を夾雑物を含む系(実検体、または、相当する系)において行い、チップの実用性について検証を行う予定である。
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