研究課題/領域番号 |
23360003
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
櫻庭 政夫 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (30271993)
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研究分担者 |
室田 淳一 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (70182144)
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キーワード | ヘテロ構造 / IV族半導体 / 量子デバイス / 室温動作 / エピタキシャル成長 |
研究概要 |
本基盤研究では、低温熱CVD(Chemical Vapor Deposition; 化学気相成長)や申請者らが開発してきた低エネルギー(低損傷)基板非加熱プラズマCVDを駆使することにより、SiGe(C)系IV族半導体のナノスケール量子ヘテロ構造形成における高度歪導入や結晶品質・界面平坦性の向上を高度化させることを目的とする。本年度は、基板非加熱プラズマCVDによるSi(100)上への高度歪Geエピタキシャル薄膜形成について研究を進め、プラズマ低エネルギー化の推進によってSiやArの混入量が1%以下の高純度Ge薄膜形成を実現するとともに、ナノメートルオーダ厚さ領域での歪Geエピタキシャル成長における歪緩和量の抑制が可能となることを見いだした。また、基板非加熱プラズマCVDによるSiエピタキシャル成長におけるBドーピングについて研究を進め、10^<21> cm^<-3>を超える高B濃度領域ではSi堆積速度が大きく促進されるとともに、プラズマの低エネルギー化による結晶性の劣化と電気的活性化率の低下が顕著になる傾向があることを明らかにした。さらに、高Ge比率SiGe系ナノスケール量子ヘテロ構造を適用した共鳴トンネル素子製作プロセスについて研究を進め、ナノメートルオーダ厚さのSi障壁層中にCやNを10^<14> cm^<-2>以上の高濃度で原子層ドーピングしても、その上への原子オーダ平坦な高度歪SiGe量子井戸構造のエピタキシャル成長が可能な条件を確認した。以上のように、SiGe(C)系IV族半導体のナノスケール量子ヘテロ構造形成における高度歪導入や結晶品質・界面平坦性の向上を高度化に向けた研究を進めるために重要な成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年3月11日の東日本大地震による被災からの実験設備・装置の復旧作業のため、約2ヶ月程度研究開始が遅れたが、その後は順調に実験を進めることができた。実験を進めるうちに、プロセスシーケンスの複雑化や当初目標としていたB濃度領域が高すぎる問題などが明らかになってきたが、それらの反省にもとづいて2年目の実験計画を見直し検討するとともに具体化することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
ナノスケール量子ヘテロ構造形成を高度化する上で重要となるプロセスシーケンスの簡素化や目標とするB濃度領域の見直しを行う。具体的には、量子ヘテロ構造のGe比率や各層の膜厚構成を大幅に見直すとともに、プラズマCVDに用いるB_2H_6ガスボンベの希釈率変更を行い、研究の継続推進を行う。また、未着手の基板非加熱プラズマCVDによるSiGe混晶とBドープGeのエピタキシャル成長の研究についても実験開始の準備が整ったところであり、基板非加熱下でのナノスケール量子ヘテロ構造形成のためのプロセス構築に向けて実験研究を推進していく。
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