研究課題/領域番号 |
23360003
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
櫻庭 政夫 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (30271993)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ヘテロ構造 / IV族半導体 / 量子デバイス / 室温動作 / エピタキシャル成長 |
研究概要 |
本基盤研究では、低温熱CVD(Chemical Vapor Deposition; 化学気相成長)や申請者らが開発してきた低エネルギー(低損傷)基板非加熱プラズマCVDを駆使することにより、SiGe(C)系IV族半導体のナノスケール量子ヘテロ構造形成における高度歪導入や結晶品質・界面平坦性の向上を高度化させることを目的とする。本年度は、基板非加熱ECRプラズマCVD装置によるSiやGeのエピタキシャル成長におけるBドーピングやSiGe混晶のエピタキシャル成長について研究を進めた結果、以下の研究成果を得た。まず第1に,基板非加熱下でのSi(100)上へのSiGe混晶薄膜形成のCVD反応において、SiH4ガスとGeH4ガスの混合比率とSiGe混晶薄膜のGe比率がほぼ一致し、広い範囲でGe比率制御できることを見いだした。第2に、SiH4ガスへのB2H6ガスの添加により、基板非加熱下での高濃度BドープSiエピタキシャル成長を可能にすると同時に、B2H6ガスの添加により堆積速度が増加する現象を見いだした。また、200~300℃での低温熱処理により電気的活性化が進行し、キャリア濃度10^18 cm^-3を超える低抵抗BドープSiエピタキシャル薄膜形成を可能とした。第3に、GeH4ガスへのB2H6ガスの添加により、Si(100)上にB濃度が5%をはるかに超える高B濃度BドープGe薄膜のエピタキシャル成長を可能にした。以上の結果は、原子層オーダで界面急峻性が制御されたIV族半導体ヘテロ構造形成と量子効果デバイスの実現に不可欠となる重要な成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目の本年度までに、IV族半導体のナノスケール量子ヘテロ構造形成に必要となるGe比率制御されたSiGe混晶や高濃度BドープしたSiやGeのナノメートルオーダ厚さの薄膜をエピタキシャル成長制御できる目途をつけることできたので、順調であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後、IV族半導体のナノスケール量子ヘテロ構造形成と同時に、不純物の電気的活性化の向上や薄膜の高品質化に向けた実験条件の改善を行っていく予定である。また、実験の再現性確保のために、基板表面処理・クリーニング方法の最適化についても検討を進め、表面反応過程に関する信頼性のある実験データ取得を目指す。
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