研究課題
本研究では極めて詳細な電子分光実験を通して、有機半導体薄膜の電子構造の観点から、その背景に広がる独特な電子物性を理解すべく研究を進めている。弱い相互作用で結ばれた分子性固体中の電荷の動きを如何にして捉えるか、電子論として如何に物理的に記述できるかが命題である。光電子分光法という古来の手法を高精度測定を通じて斬新に活用することにより、キャリア伝導機構の重要な因子である再配向エネルギーとトランスファー積分の両者に直接的に踏み込むことができる。今年度の主な成果として、以下があげられる。<有機ヘテロ超格子単分子膜の構造と局所電子状態>ドナー(D)・アクセプター(A)界面のモデル試料として、グラファイト基板上に銅フタロシアニン(CuPc:D)とフッ化銅フタロシアニン(F16CuOPc:A)の混合蒸着膜を作製した。自己組織化により単分子層内で超格子構造が観測され、D-A分子接合膜が実現していることを走査プローブ顕微鏡により確認した。走査トンネル分光により局所電子状態を評価したところ、隣接分子の違いにより結合エネルギーが顕著に変化している様子を見出した。密度汎関数理論による解析から、弱い相互作用よる分子内電荷分布の再構成が生じていることが分かった。ACS Nanoにて発表。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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