研究課題/領域番号 |
23360006
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
工藤 一浩 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10195456)
|
研究分担者 |
酒井 正俊 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60332219)
伊藤 公一 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90108225)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 有機トランジスタ / 情報タグ / 有機半導体 / 印刷プロセス |
研究概要 |
本研究では、縦型有機トランジスタおよび新型有機トランジスタの高速動作と低オン抵抗を実現し、印刷技術で柔軟性を有するプラスチック基板上に作製したアクティブアンテナの送受信特性の検証を行い、次世代フレキシブル情報処理デバイスの実現に向けた基礎研究を行った。本年度末までに以下の3項目について研究を進めた結果を示す。 1)高速有機トランジスタの基礎特性:塗布型ペンタセンを用いた段差構造縦型有機トランジスタ(SVC-OFET)において簡単プロセスで短チャネル化が可能となり、前年度素子を上回る1.5 MHz以上での高速動作素子が歩留まりよく作製可能であることを確認した。 2)アクティブアンテナの設計と基礎特性:アクティブアンテナとして、通常のループアンテナに段差型有機トランジスタ(SVC-OFET)を装荷することにより、SVC-OFETのON/OFFに対応した抵抗変化によるインダクタンス(L)、キャパシタンス(C)の変化によるアンテナ系の入出力特性を詳細に検討し、送受信特性に必要なアクティブアンテナの基本設計を進めた。また、数値シミュレーションによる素子の基本パラメーターの絞り込みを行い、ループアンテナにSVC-OFETを組み込んだアクティブアンテナとリーダーアンテナによる13.56MHz帯情報タグシステムを構築した。新規に構築した情報タグシステムにおいて、変調度5.6%の特性が得られた。 3)アクティブアンテナ材料と作製技術:シミュレーションによるアクティブアンテナの設計に基づき、有機スイッチングトランジスタを組み込んだアクティブアンテナ部分の作製技術を検討した。また、各種塗布型有機半導体の電極間での接触抵抗が低く、アンテナのインピーダンスへの影響が最小限となる塗布電極材料の検討を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度得られた1MHzの動作周波数を上回る1.5MHz以上で動作する段差構造縦型有機トランジスタを実現した。さらに印刷プロセスに適用可能な溶液法によるデバイス作製の歩留まり向上と有機トランジスタと新しく設計したループアンテナを組み合わせた情報タグシステムにおいて、変調度5%以上を実証した。また、研究成果を論文誌への公表、ならびに、国際会議、国内会議にて発表を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
段差構造縦型有機トランジスタの作製条件の最適化と塗布型半導体材料の選択により、フレキシブル基板上での安定な作製技術の確立を行う。さらなる変調度向上を目指したアクティブアンテナの設計と段差型トランジスタの動作周波数の改善を目指す。さらに、通信周波数帯である13.56MHz帯、2.45GHz帯における情報タグに対応する測定システムの確立を行う。
|