研究課題/領域番号 |
23360009
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田渕 雅夫 名古屋大学, シンクロトロン光研究センター, 特任教授 (90222124)
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キーワード | X線回折測定 / その場観察 / 結晶成長 / 分光集光結晶 / 回転機構排除 |
研究概要 |
本研究では、既存の結晶成長装置などと組合せ可能なX線回折/散乱測定装置を開発し、新しいその場観察手法として確立することを目指す。そのために、新しく設計するX線集光光学系と2次元検出器(X線CCDカメラ)を用いることで、本研究で提唱する新しいX線回折/散乱測定系を完成させる。さらに完成させた測定系に、実際に結晶成長装置を導入することで本測定系が新しいその場観察装置として有用であることを示し、究極の界面形成を実現することで、先端的なデバイス性能の向上に貢献することを目標とする。 この様な研究の中で、平成23年度は、入射光学系の完成とX線CCDカメラの導入を主たる目標とした。 既にあるプロトタイプの装置から開始して、新たに集光角の大きい(4度)結晶を設計・導入した。これにより中間焦点スリットを持つ入射光学系の初期の形を完成させた。このとき、2枚の集光結晶と中間焦点スリットの性能を発揮するため、高い制度で結晶やスリットを配置する必要があり、集光結晶やスリットのアライメント調整を効率良く行なうシステムを同時に開発した。また、X線検出器としてX線CCDを導入した。このCCDと改善された入射光学系と組み合わせることで、従来よりもより短時間で高品精度の測定を可能とすることを目指した。実際には、CCDを使用した測定ソフトウエアの開発が遅れ、CCDを利用した測定は可能になったが、その特性をフルに生かした短時間測定は今後の課題である。また、中間焦点スリットを導入したことにより、X線の強度が予想よりも弱くなった。この原因と対策も今後の課題となる。 この様に課題は残ったが、H24年度以降継続的に研究を進め、初期の目標である結晶成長その場観察が可能な測定系の完成を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題としていた、中間焦点を持つ光学系の作製や、検出器としてのX線CCDの導入は達成した。一部、目標の性能が得られていないが、その場観察のための測定の短時間化は順調に進んでいるため評価を「おおむね」とした。
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今後の研究の推進方策 |
前述したように、X線CCDをシステムとして有効に利用すること、中間焦点を持つ光学系のX線強度を上げることなど、本年度達成できなかった幾つかの課題は次年度の達成を目指す。全体としては当初の計画どおりに進め、平成24年度には測定系の中に組み込み可能なその揚実験装置を準備することに重点を置く。準備した装置を用いることで本測定系が、そのばその場測定装置として有用なものであることを示すことを目指す。
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