研究課題
(1)分子注入法によるタンパク質結晶核発生誘起効果の実証ニワトリ卵白リゾチーム(HEWL)を用いてレーザー分子注入法による結晶化確率向上の評価を行い、より最適なゲル条件を決定した。パラメータとしてゲルの濃度(0.5%および2.0%)、リゾチームの過飽和度を変化させた。その結果、0.5%アガロースゲルを用いた方が、核発生可能な最低過飽和度がより低過飽和側にシフトし、より低い過飽和条件での結晶化が実現した。また、0.5%ゲルの方が、各過飽和度において核発生確率の向上も顕著であった。また、リゾチームを用いて、核発生に最適なレーザー照射位置の検討を行っていた際、ゲル―溶液界面と同様に、気相―溶液界面でも高いレーザー照射効果が得られることが明らかになった。そこで緑色蛍光タンパク質(GFP)と高速度カメラを用い、レーザー照射時に発生するキャビテーションバブル近傍のGFP由来の輝度を観測することで、タンパク質濃縮の定量測定に挑んだ。その結果、気相―溶液界面では数倍以上の濃度圧縮が起こることが分かった。これはゲル‐溶液界面に着目した本研究では想定外の結果であったが、従来以上の高効率な核発生法となる可能性を秘めていると考えており、今後より詳細に調べていく予定である。(2)「タンパク質・レーザー分子注入法」と「溶液攪拌法」との融合開発した「ゲル上撹拌法」でインシュリン結晶を育成し、得られた結晶をX線で評価することで、結晶品質向上効果を定量的に示した。ゲル上育成により、結晶の環境変化に対する耐性が向上した。具体的には、結晶が溶け出す温度が2℃ほど高くなった。また、ゲル上撹拌法を行うことで、85%以上の結晶(13/15)で品質向上が確認され(比較対象、撹拌しないゲル上法)、ゲル上撹拌法の有効性が明らかになった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Chemical Society Reviews
巻: Vol.43, No.7 ページ: 2147-2158
10.1039/c3cs60226e
Japanese Journal of Applied Physics
巻: Accepted ページ: Accepted