研究課題/領域番号 |
23360013
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
上田 裕清 神戸大学, 工学研究科, 教授 (40116190)
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研究分担者 |
石田 謙司 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20303860)
三崎 雅裕 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環・重点研究部, 助教 (00462862)
小柴 康子 神戸大学, 工学研究科, 助手 (70243326)
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キーワード | 有機半導体 / 結晶成長 / 配向制御 / オンデマンド / パターニング / コンタクトプリント / 薄膜トランジス / 薄膜太陽電池 |
研究概要 |
有機デバイス創出のための基盤技術として、"所定の位置"に"所定のサイズ"で"結晶方位のそろった"有機結晶を集積化する「オンデマンド有機結晶成長技術」の開発を目的として、可溶性前駆体からの有機半導体の熱転換結晶成長、結晶成長テンプレート形成とパターニングおよび配列有機結晶を用いた光・電子デバイスの創出に関する研究を実施した。Siウエハーおよび石英ガラス上に作製したペンタセン前駆体膜は、均一は非晶膜から形成され、加熱処理によりペンタセへの転換と結晶化が同時に起こり、加熱温度を選択することでペンタセン分子がエッジオンした大きさと高さの揃った結晶が成長すること、得られた配向制御膜は薄膜トランジスタや太陽電池に応用できることを見出した。また、π共役系を拡張した繰り返し周期をもつ新規ポリチオフェン誘導体の摩擦転写膜は、基板温度により4種の配向構造をとり、エッジオンした配向膜のπスタッキングが最もキャリア移動に有効であることを見出した。一方、ジアセチレンの固相重合に電子線を用いることで膜の収縮が抑えられ、移動度が3cm^2V^<-1>s^<-1>以上とポリマー系では世界最高水準のトランジスタの開発に成功した。さらに、ジアセチレンの蒸着時に紫外光を照射すると重合(結晶成長)に異方性が生じ、100μm超のドメインサイズの均一な結晶薄膜が生成すること、キャリア移動も通常の蒸着膜と比較して1桁以上向上することを見出した。デバイス作製プロセスについても、フォトクロミック化合物のヌレ性制御を用いる新規コンタクトプリント法を創出し、真空フリーによるオール有機デバイス創成に向けた基礎的知見も得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した平成23年度の4研究テーマ、(1)可溶性有機半導体の熱転換挙動、(2)可溶性前駆体からの有機半導体の熱転換結晶成長、(3)結晶成長テンプレート形成とパターニング、(4)過飽和度制御空間での有機結晶成長はほぼ達成し、研究成果として学術報告ならびに論文投稿につながった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成23年度の成果を基に構造の最適化を図るとともに申請書に記載した蒸着分子の真空中での熱力学物性および配列有機結晶を用いた光・電子デバイスの創出に取り組む。また、最新の情報収集により新たな課題も取り入れ「結晶核パターニングによる有機分子のオンデマンド結晶成長技術の創成」の充実に努める。
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